発見から30年の小惑星ドンキホーテに彗星活動

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【2013年9月17日 Northern Arizona University

発見以来30年間、小惑星とされていた天体「ドンキホーテ」に、彗星活動が見つかった。


ドンキホーテのコマと尾

ドンキホーテのぼんやりと光る彗星コマ(左)と、コマの光を差し引いて浮かび上がった尾の姿(左)。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/DLR/NAU)

ドンキホーテの軌道

ドンキホーテの軌道(緑)。その他の典型的な小惑星の軌道も表示している。クリックで拡大(「ステラナビゲータ」で作成)

NASAの衛星「スピッツァー」による赤外線観測で、小惑星「ドンキホ−テ」((3552) Don Quixote)にコマ(大気)とかすかに伸びた尾が見つかった。ドンキホーテは地球軌道に近づく地球近傍小惑星のひとつで、その軌道が小惑星よりも彗星のものに近いことから()、数千年も昔に揮発性物質を放出し尽くした枯渇彗星と考えられていた。

今回の発見を発表した北アリゾナ大学のMichael Mommertさんらは、2009年8月の観測で、この小惑星が予測よりも明るいことに気づいた。画像が鮮明でなかったため調査を保留にしていたが、詳しく調べると二酸化炭素や水の兆候が検出されたという。

1983年の発見以来30年間見過ごされていた彗星活動が今回見つかったことで、ほかの地球近傍小惑星にも二酸化炭素や水の氷が残っている可能性がある。彗星が地球に水をもたらしたという説を検証するヒントになるかもしれない。

注:「彗星と小惑星の軌道」 小惑星の軌道は惑星の公転面に対して傾きが少なく、ほぼ円形のものが多い。対して、ドンキホーテの軌道は傾きが大きく楕円形である。

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