ガスをたなびかせながら進む渦巻銀河
【2014年3月5日 ESA/Hubble】
ハッブル宇宙望遠鏡が、ガスを引きはがされながら銀河団の中を進む渦巻銀河の姿を詳細にとらえた。引きはがしは、銀河団の中の超高温ガスによるものだ。
ESO 137-001は、みなみのさんかく座方向2億光年彼方にある渦巻銀河だ。「じょうぎ座銀河団」(Abell 3627)の中心領域を時速約720万kmのスピードで移動すると、周囲を満たすおよそ1億度の超高温ガスによって銀河内のガスが引きずり出され、紫外線で輝きながらこぼれるようにたなびいている。
同じ作用によって銀河の円盤形状もいくらかゆがみ、中心部からは塵(ダスト)が黒い筋となって引き出されているのが見えるが、銀河自体の重力によってまとまった形状を保っている。
「動圧による引きはがし」(ram pressure stripping)と呼ばれるこうしたプロセスは、星の材料となる低温ガスの大部分を銀河から奪い去り、新しい星の形成を妨げるなどの大きな影響を及ぼす。このようすを調べることが、銀河進化を理解することにつながる。