太陽系外の浮遊惑星を回る「系外衛星」候補を観測
【2014年4月11日 NASA】
太陽系外の浮遊惑星を回る「系外衛星」の候補天体が初めて観測された。一度きりの現象から見つかったため今後確定されることはないが、系外衛星の確実な発見に向けて重要な一歩となる成果だ。
日本を含む国際研究チームがニュージーランドとオーストラリアの天文台で行った観測から、太陽系外の惑星を回る「系外衛星」の候補が初めて見つかった。
「MOA(宇宙物理マイクロレンズ観測)」プロジェクトでは、手前の天体の重力がレンズのように働いて向こう側の天体が明るく見える「重力マイクロレンズ」現象を調べている。この現象はおよそ1ヶ月間にわたって続くが、レンズとなる恒星に惑星が存在する場合、その公転運動がレンズ効果を変動させ、遠方天体の明るさがさらに変化する。プロジェクトではこの手法で多くの系外惑星を発見している。
天の川銀河内に見つかったレンズ天体「MOA-2011-BLG-262」は、メイン天体がパートナー天体の2000倍の質量を持つペアで、その構成については(1)暗い恒星と地球の18倍の重さの惑星、あるいは(2)木星より重い浮遊惑星(注)と地球より軽い衛星という2つの可能性があることがわかった。
NASAの系外惑星探査プログラムに携わるWes Traubさんは前者の可能性が高いという見解を第三者として述べているが、もし後者であれば、初めての系外衛星発見という快挙になる。だが一度きりの増光現象を再び確かめるすべはなく、この天体の正体は未来永劫わからないままだ。
系外衛星の存在を確かめるうえで今後の目標は、同様の現象が観測されている間に探査衛星などを使って視差から天体までの距離を求めることだ。レンズ効果が同程度とすれば、近くにあるほど低質量、つまり惑星と衛星のペアであると判断することができる。
注:「浮遊惑星」 地球にとっての太陽のような主星を持たない惑星のことで、これまで観測例が報告されている(下記関連ニュース参照)。原始惑星系円盤の中で形成され、その後重力的に不安定になり弾き飛ばされたものと考えられている。