明け方の空を北上するジャック彗星
【2014年7月24日 アストロアーツ】
7月2日に太陽に最接近したジャック彗星(C/2014 E2)が明け方の北東の空に現われ、6等台で見やすくなっている。7月下旬はぎょしゃ座の散開星団のそばを通過中。9月初めごろまでは7等級を保つと予想されているので、天の川に沿って移動しながら他の天体に近づくようすを双眼鏡や撮影で狙ってみよう。
(※)「星ナビ」8月号付録冊子「夏の“選り抜き”天文現象」より抜粋・再構成したものです。
ジャック彗星(C/2014 E2)は、Cristóvão JacquesさんらがブラジルのSONEAR天文台で3月13日に撮影したケンタウルス座の写真から発見された。
7月2日に太陽から0.66au(天文単位)の距離の近日点を通過し、7月中旬には明け方の東北東の空に現われて、おうし座の角の先からぎょしゃ座へと天の川に沿うように移動している。7月下旬時点で期待どおりの6等台の明るさで、散開星団M36とM38の南を通過中だ。月明かりもないので、この機会に双眼鏡で見てみよう。
彗星は8月も引き続き天の川に沿って北上し、いくつかの散開星団に接近する。8月12日から14日にかけてはペルセウス座の散開星団NGC 1545とNGC 1528とニアミスし、8月20日、21日にはペルセウス座の散開星団IC 1848とIC 1805の中を通過する。そして8月28日には、カシオペヤ座の散開星団M52の北2.4度を通る。
8月31日から9月1日にかけては、ケフェウス座のガーネットスター(μ星)と散開星団IC 1396をかすめる。9月5日にははくちょう座のデネブの西を通過、9月8日にはサドル(2.2等)の西を通過して、9月15日にはアルビレオの東に達する。
これからの見どころ
- 7月23日〜29日:
ぎょしゃ座の散開星団M36、M38の南約4度を通過。7倍双眼鏡で同視野内に - 8月12日〜14日:
ペルセウス座の散開星団NGC 1545とNGC 1528に3度以内のニアミス - 8月20日〜21日:
ペルセウス座の散開星団IC 1848とIC 1805 の中を通過。7倍双眼鏡で二重星団とともに視野円内に - 8月31日〜9月1日:
ケフェウス座のガーネットスターと散開星団IC 1396をかすめる。3度の視野円内に - 9月5日:
はくちょう座のデネブの西3度の位置を通過 - 9月7日〜8日:
はくちょう座のサドル(2.2等)の西3度の位置を通過。双眼鏡で、散開星団M29とともに天の川の無数の星をバックに見える