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木星とガリレオ衛星

夏休みの夜は、マイナス3等近い明るさを誇る木星が、一晩じゅう南の空で輝いています。望遠鏡があれば表面の模様を観察できて、双眼鏡でも周囲を回る4つのガリレオ衛星を見つけることのできる、見どころの尽きない惑星です。

木星の位置

木星のおおまかな位置

8月15日午後10時の星空と木星の位置。クリックで拡大(ステラナビゲータで作成)

木星は太陽のまわりを約12年で1周します。地球はずっと内側を回っているので、私たちから見ても木星は12年かけて星々の中を1周しているように見えます。目安としては「黄道十二星座の中を毎年1つずつ移動している」と考えるとよいでしょう。

2007年の木星は夏の「さそり座」、2008年は東どなりの「いて座」にありました。そして今年2009年の木星は、夏から秋にかけての星座「やぎ座」にあります。黄色くてとても明るいので街明かりの中でも簡単に見つかることでしょう。木星が真南の空に昇る時刻(南中時刻)を挟む約5時間のうちは、高度が30度を超えているので観測に向いています。南中時刻は7月15日午前2時ごろ、8月1日午前1時ごろ、8月15日午前0時ごろ、9月1日午後11時ごろ、9月15日午後10時ごろとなります(地域によって多少前後します)。

木星の動き

木星の動き。クリックで拡大(ステラナビゲータで作成)

ところで、1年ごとに見ると木星は西から東へ移動していますが、短い期間で観察すると、東から西へ移動していることもあります。これは「逆行」といって、私たちのいる地球が外側を回る木星を追い抜くために見られる現象です。地球が木星を追い抜く瞬間の、太陽−地球−木星が一直線に並ぶ状態は「衝」とよばれ、地球からは一晩中木星を観察できます。逆行は衝の前後およそ3か月間続きますが、このころが絶好の条件で観望するチャンスです。

ちなみに、今年木星が衝になるのは8月15日です。7月から8月にかけては、すぐ近くに最遠の惑星・海王星が見えているので、まとめて観察するのもおすすめです。双眼鏡や望遠鏡の低倍率なら同時に見ることができます。ただし、海王星は約8等の暗い星なので、なるべく街明かりを避けて観察したいところです。

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ニンテンドーDSで探す

星空ナビの天体事典で木星を調べる

木星は市街地でも見えるほど明るい天体ですが、それでも「街の明かりばかりが目に入ってしまう」「方角の見当もつかない」という方も少なくないことでしょう。そんなときはニンテンドーDS用ソフト「星空ナビ」が便利です。

星空ナビで木星を導入

「星空ナビ」には「DS方位センサーカード」が内蔵されていて、ニンテンドーDS本体の向きや動きを読み取って、向いている方向にある星や星座について調べたり、逆に天体を探すことができます。木星を探すときも、このとおり。「星をさがそう」モードで、天体の一覧から木星を選べば、あとは矢印の指示に従ってDS本体を動かすだけです。

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ガリレオ衛星

2009年8月15日と8月16日のガリレオ衛星の位置

8月15日と8月16日のガリレオ衛星。クリックで拡大
ステラナビゲータで作成)

私たちの地球のまわりを回る天体は、人工衛星を除けば月しかありません。しかし木星のまわりには60を超える衛星があって、そのうち4つはとても大きくて、地球から簡単に観察することができます。この4つの衛星は「ガリレオ衛星」と呼ばれています。今から400年前に、望遠鏡を空に向けた天文学者ガリレオが発見したからです。

当時は木星などの惑星や太陽も、月と同じように地球のまわりを回っていると信じる人が多い時代でした。ガリレオは4つの星が木星のまわりを回っているようすを観察して、「地球が月を従えながら太陽のまわりを回っていても不思議ではない」と確信したと言われています。

ガリレオが望遠鏡を初めて空に向けたのが1609年で、ガリレオ衛星を見つけたのが1610年です。その功績を記念して、400周年となる2009年は国連などによって「世界天文年」と定められました。

さて、発明されたばかりで性能もあまりよくない望遠鏡ですぐに見つかったほどですから、ガリレオ衛星はとてもわかりやすい天体です。現代の私たちはもっと性能のよい望遠鏡を簡単に使うことができます。ぜひ望遠鏡(または双眼鏡)を木星に向けてみてください。迷ったらアストロアーツオンラインショップで組み立て天体望遠鏡を手に入れましょう。ガリレオとほぼ同じ大きさの望遠鏡が1,580円で買えます。

ちなみに、衛星の名前は内側から順番にイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストです。一日おきに見るとどんどん動くのがわかります。月刊星ナビにはガリレオ衛星の位置を示すカレンダーが掲載されているので参考にしましょう。天文シミュレーションソフトの「ステラナビゲータ」で確かめるのも手です。ガリレオ衛星の詳しい解説はムック「太陽系ビジュアルブック」で読むことができます。

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望遠鏡で模様を観察

口径の大きな望遠鏡で観察するほど木星の魅力は増すといってよいでしょう。最後に紹介するのは、望遠鏡で見える木星の模様です。

木星は主にガスでできていて、地球のように海や大陸が見えることはありません。しかし木星はおよそ10時間で1周という高速で自転していて、その回転方向に沿って何本もの縞模様があります。もっとも目立つ縞は、観測条件がよければ口径5cmの望遠鏡や双眼鏡でも確認できるでしょう。

口径8cm程度の望遠鏡なら、本格的に楽しめるようになります。見える縞の数は4〜5本で、条件に恵まれれば「大赤斑」も確認できるかもしれません。大赤斑は木星の台風のような存在で、大きさは地球2つ分、発見以来300年間消えていないと言われています。

各地の天文台などで開かれる観望会にも参加してみましょう。口径数十cmの望遠鏡で見る木星は圧巻です。

8cmと25cmの望遠鏡で見た木星

模様の観察に挑戦するときは、天気に注意しましょう。空一面べた雲りというのは論外ですが、星が見えていても薄い雲がかかっていることもあります。また、風が強いと大気がゆらぐので、波立った水面の底をのぞくかのように模様が見づらくなります。さらに、大気の影響は、地平線に近いところほど大きくなります。なるべく木星が高く昇っている時間を狙いましょう。

望遠鏡で見る木星の感動を味わうためにまず手に入れたいのが、双眼鏡や望遠鏡の使い方や、木星などさまざまな天体の観察方法をまとめたムック「DVDではじめる 天体観察入門」です。星の探し方や道具の使い方を説明するムービーが付録DVDに収録されていて、オールカラーの解説と合わせることでまったくの初心者でも必要な知識を身につけることができます。

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