• このエントリーをはてなブックマークに追加
初日の出(2017年)

一年の始まりを告げる「初日の出」。早起きして新年への思いを新たにしたり、風景の美しいところへ出かけて初日の出を撮影したりしてみてはいかがでしょうか。

2017年最初の夜明けの空では木星の輝きが目立ちます。南の空に広がる春の大三角、西に傾いた冬の星々など、初日の出前の星空も忘れずに眺めてみましょう。

さらに、1日には火星と海王星が大接近、2日は細い月と金星の大接近、3日深夜に「しぶんぎ座流星群」が極大と、三が日には見逃せない現象が目白押しです。

初日の出の時刻

国内の主な場所での初日の出時刻は以下のとおりです(場所の違いなどにより、1分程度の差がある可能性があります)。

参照:天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」

場所時刻
札幌7時06分
仙台6時53分
新潟7時00分
東京6時51分
場所時刻
名古屋7時01分
大阪 7時05分
福岡 7時23分
那覇 7時17分
場所時刻
南鳥島 5時27分
富士山山頂6時43分
犬吠埼 6時46分

日の出の豆知識

  • 日の出とは、太陽の上端が見かけ上地平線(または水平線)に一致した時刻を指します(日の入りも同様です)。
  • 地平線近くの太陽は、大気の影響(大気差)で実際よりも浮き上がって見えます。このため、実際にはまだ地平線の下にある太陽が、大気の影響がないと考えた場合と比較して4分ほど早く日の出を迎えます(同様に日の入りも約4分遅くなります)。
  • 日本で最も早く初日の出が見られるのは、日本の東端である「南鳥島」で5時27分です。本州では「富士山山頂」(6時43分)、平地に限れば千葉県の「犬吠埼」(6時46分)です。なお、日の出が最も早い場所は一年のうちの時期によって変わります。
    一方、日本の西端である「与那国島」の初日の出は7時31分で、日本の東西で実に2時間以上の差があることになります。
  • 日の出の時刻は標高が高いほど早くなります。また当然ながら、日が昇ってくる方向に山やビルがあればそれだけ遅くなります。

富士山の裾野から初日の出

富士山の裾野から初日の出。地上風景を半透明で表示し、写野角も表示(ステラナビゲータで星図作成)。クリックで拡大。ステラナビゲータでは、大気による浮き上がりの影響も含めて太陽の位置を正確に再現できます。さらに、周辺の地形から地平線を計算したり手持ちの機材による撮影範囲を調べたりといった、高度なシミュレーションも可能です。

夜明け前の空

初日の出は午前7時前後ですが、できれば新年最初の夜空も眺めてみてはいかがでしょうか。

まず、年が明けてすぐのころには、南の空から天頂に「冬の大三角」やオリオン座が広がっています。色とりどりの明るい星々が新年を祝っているかのようです。

さらに夜が更けると、冬の星座たちが西に傾いていくのと入れ替わって春の星座たちが南から南東の空に上ります。春の大三角が大きく広がるなか、とくに注目の天体は、おとめ座の1等星スピカと並んで輝いている木星です。スピカとの色や明るさの違い、瞬きの様子の違いなどを確かめてみましょう。

木星を双眼鏡で観察すると、すぐそばにガリレオ衛星も見えるはずです。意欲的な方は2017年の観測初めに、天体望遠鏡で木星の縞模様も観察してみてはいかがでしょうか。

初日の出の1時間前(東京で5時50分ごろ)になると、南東の低空にさそり座のアンタレスが姿を見せます。見晴らしが良いところでは土星も見つけられるかもしれません。そして、星々の光が空の中にとけて消えていくと、間もなく初日の出です。

2017年1月1日 0時から夜明け前まで南の空を眺めた様子。場所の設定は東京(ステラナビゲータでシミュレーション)。

他の動画は ›› アストロアーツYouTubeチャンネル [YouTube]

モバイルアプリで新年の空や初日の出をチェック

iOS用の「iステラ」「iステラ HD」やアンドロイド用「スマートステラ」などのモバイルアプリは、端末を向けた方向の空を画面にシミュレーション表示するので、木星をはじめ星や星座の名前が簡単にわかります。また、地平線の下や山の陰にある天体も表示できるので、初日の出がどの方向から昇ってくるのか日の出前からチェックできます。

他の製品は ›› モバイル製品情報

スマートステラでのシミュレーション

スマートステラで、星や惑星の名前、星座名や星座線などを表示して新年の星空をシミュレーション。クリックで拡大。

三が日の天文現象

年越しの星空や初日の出だけでなく、正月三が日には注目の天文現象が目白押しです。ぜひ観察してみましょう。

火星と海王星が大接近(最接近 1日)

2016年の年末から2017年の年始にかけて、宵空で火星と海王星が接近します。火星は夕方〜宵の南西の空で、ひときわ明るく輝く金星の左上に見えています。

海王星の明るさは約8等級なので、肉眼では見えませんが、双眼鏡を使えば見つけられます。火星と周囲に見える星とを頼りに、海王星の位置を確かめて探してみましょう。

最接近する1日には、100倍の天体望遠鏡の同一視野に収まるほどまで近づきます。2つの惑星が天体望遠鏡で同時に見えることは珍しいので、望遠鏡をお持ちの方はぜひ観察してみてください。また、高倍率で海王星を観察して、青い円盤状に見えることも確認してみましょう。

星図(火星と海王星の位置関係)

年末年始の火星と海王星の位置関係(ステラナビゲータで星図作成、以下同)。画像クリックで現象ガイドの解説ページへ。

細い月と金星が大接近(2日夕方〜宵)/
月と火星が大接近(3日夕方〜宵)

年明けの南西の夕空には、細い月と宵の明星の金星、火星が見えています。このうち月は、少しずつ満ちていきながら、金星と火星のすぐそばを通り過ぎていきます。

まず1日には、月齢3の細い月が金星の右下に並び、3天体がほぼ等間隔に並んでいる光景が見られます。

翌2日になると、月は金星のすぐ右にやってきて大接近します。眩しく輝く金星と細い月の共演は非常に美しく、印象的な光景になるでしょう。

さらに翌日、3日の夕方から宵には、月は今度は火星のすぐ左にやってきて大接近します。その間隔は月の見かけの直径ほどしかなく、低倍率の天体望遠鏡でも同時に見えるほどです。

そして4日、月は火星からも離れますが、再び3天体がほぼ等間隔に並びます。

月と惑星の接近現象は、肉眼でもよく見え、月の暗い側がぼんやりと光る「地球照」もわかるかもしれません。本格的な観察道具をお持ちでない方、帰省先や旅行先に道具を持っていかない方も、ぜひこの美しい共演を見たり撮ったりしてみてください。

星図(1月2日 細い月と金星が大接近、3日 月と火星が大接近)

2日には細い月と金星が大接近し、3日には月と火星が大接近して見える。画像クリックで2日の現象ガイドの解説ページへ。なお、1日には金星の右下に細い月があって月・金星・火星が等間隔に並び、4日には火星の左上に月があって3天体が等間隔に並ぶ。

しぶんぎ座流星群(3日深夜〜4日未明)

ペルセウス座流星群、ふたご座流星群と並び三大流星群とされている「しぶんぎ座流星群」の活動が、1月3日の深夜に極大を迎えると予想されています。

今回の流星群では月明かりの影響がなく、極大予想時刻が夜間なので、多くの流れ星が見られると期待されます。3日深夜から4日未明にかけて、空の条件の良いところで1時間あたり30個ほど、郊外でも15個程度の流れ星が見られそうです。流れ星は空のあちこちに流れるので、北東の方向を中心としてなるべく広く空を見渡すようにしましょう。

年初め早々に体調を崩すことのないよう、寒さ対策(「ふたご座流星群」特集ページ)を万全にして、流れ星を待ってみましょう。

星図(1月3日深夜〜4日未明 しぶんぎ座流星群)

画像クリックで現象ガイドの解説ページへ。しぶんぎ座流星群の流れ星は、放射点がある北〜北東だけでなく、全天のあちこちに飛ぶ。

2017年の天文現象は「アストロガイド 星空年鑑」でチェック!

「アストロガイド 星空年鑑 2017」

8月8日未明の部分月食のほか、アルデバランやレグルスが月に隠される恒星食、環が大きく開いた土星、……2017年にも楽しみな天文現象や面白い天体がたくさんあります。もちろん、日々の星々や月の満ち欠けなども美しいものです。

「アストロガイド 星空年鑑 2017」ではそんな見どころや季節の星座を、書籍とDVD番組で詳しく紹介。さらに付属の天文シミュレーションソフトで、現象の見え方や時刻などを調べることもできます。

一年の計は元旦にあり! 「アストロガイド 星空年鑑」で、2017年の天文現象を予習したり観測計画を立てたりしてみましょう。