2020年の7月ごろから12月ごろまで、明けの明星の金星が見ごろです。夜明けの東の空で輝く様子はよく目立ちます。
時おり細い月と並ぶ光景は、とくに美しい眺めです。肉眼や双眼鏡で見たり、撮影したりしてみましょう。
目次
金星を見つけよう
明けの明星
2020年5月ごろまで「宵の明星」として見えていた金星は、6月はじめに内合を迎えた後、7月ごろから12月ごろまで「明けの明星」として見えます。明け方に東の空でひときわ明るく輝いているので、一目でそれとわかります。
太陽から最も離れる8月ごろは、東日本では1時半ごろに昇ってくるので、かなり早い時間帯から明星の輝きを目にできるかもしれません。
形が変わる金星
地球・金星・太陽の位置関係により、金星は月のように大きく満ち欠けして見えます。また、月と異なり、金星は見かけの直径も大きく変化します。形や大きさの変化は肉眼ではわかりませんが、倍率が高めの双眼鏡や天体望遠鏡で見るとよくわかります。
金星に関する現象カレンダー:
細い月と共演/1等星と大接近
およそ1か月に1回くらいの頻度で、金星と細い月が並んで見えることがあります。金星の輝きはそれだけでも美しいものですが、地球照(地球で反射した太陽光に照らされ、月の暗い側がうっすら見える現象)を伴った幻想的な細い月と金星が明け方の空に並ぶ光景は、さらに見事な眺めとなります。金星と月の接近は肉眼でもよく見えますが、双眼鏡があるといっそう美しさが際立って感じられることでしょう。
また、金星と、1等星や星団との接近も起こります。最接近のタイミングだけでなく、その前後の日で並び方が変化していく様子も楽しみです。
地上風景も入れた写真撮影にも、ぜひ挑戦してみてください。空の色や雲の形は刻一刻と変わっていきます。シャッターチャンスを逃さず、共演を記録してみましょう。
日付 | 現象 | 備考 |
---|---|---|
6月 4日 | 内合 | |
6月19日 | 細い月(月齢27)と並ぶ | 明け方 北大西洋で金星食 |
6月25日 | 留(りゅう) | この日を境に、天球上を西→東に動く(順行する)ようになる |
7月 8日 | 最大光度 | -4.5等級 |
6月下旬 ~7月中旬 |
おうし座のヒヤデス星団、 アルデバランと大接近 (›› 解説) | 明け方 ヒヤデス星団との最接近7月8日ごろ アルデバランとの最接近7月12日ごろ |
7月17日 | 細い月(月齢26)と並ぶ (›› 解説) | 未明~明け方 アルデバランとも接近中 |
7月18日 | 細い月(月齢27)と やや離れて並ぶ | 未明~明け方 アルデバランとも接近中 |
7月下旬 ~8月上旬 |
おうし座の3等星 ティエングァンと大接近 | 未明~明け方 最接近8月2日ごろ |
8月上旬 ~中旬 |
ふたご座の散開星団 M35と接近 | 未明~明け方 最接近11日ごろ |
8月13日 | 西方最大離角 (›› 解説) | 45.8° |
8月15日 | 細い月(月齢25)と やや離れて並ぶ | 未明~明け方 |
8月16日 | 細い月(月齢26)と接近 (›› 解説) | 未明~明け方 |
8月中旬 | ふたご座の2等星 アルヘナと接近 | 未明~明け方 最接近17日ごろ |
9月中旬 | かに座の散開星団 M44プレセペ星団と接近 (›› 解説) | 未明~明け方 最接近14日ごろ |
9月14日 | 細い月(月齢26)と並ぶ (›› 解説) | 未明~明け方 |
9月15日 | 細い月(月齢27)と やや離れて並ぶ | 未明~明け方 |
9月中旬 ~下旬 |
小惑星ベスタと接近 | 未明~明け方 最接近23日ごろ 12等級差 |
9月下旬 ~10月上旬 |
しし座の レグルスと大接近 (›› 解説) | 未明~明け方 最接近10月3日ごろ |
10月14日 | 細い月(月齢26)と接近 (›› 解説) | 未明~明け方 |
11月上旬 | おとめ座の3等星 ポリマと大接近 | 未明~明け方 最接近6日ごろ |
11月13日 | 細い月(月齢27)と接近 (›› 解説) | 未明~明け方 |
11月中旬 | おとめ座の スピカと接近 (›› 解説) | 未明~明け方 最接近17日ごろ |
12月上旬 | てんびん座の3等星 ズベンエルゲヌビと大接近 | 明け方 最接近4日ごろ |
12月13日 | 細い月(月齢28)と大接近 (›› 解説) | 未明~明け方 北太平洋で金星食(日本時間6時ごろ) |
12月中旬 ~下旬 |
さそり座の2等星 ジュバと接近 | 明け方 最接近18日ごろ |
12月中旬 ~下旬 |
さそり座の3等星 アクラブと大接近 | 明け方 最接近19日ごろ |
12月下旬 | さそり座の アンタレスと並ぶ | 明け方 最接近24日ごろ |
金星は2021年3月下旬に外合となり、太陽と同じ方向(地球から見て太陽の向こう側)に位置するので見えなくなります。その後は5月下旬ごろから、夕方の西天に「宵の明星」として見えるようになります。