夏の定番天文現象「ペルセウス座流星群」。今年も8月12~13日ごろを中心に活動が見られそうです。
一番の見ごろは13日未明から明け方ですが、明るい月が一晩中、夜空を照らしているため、目にできる流れ星の数は少なくなってしまいそうです。それでも、流れ星が見やすい時期であることには変わりありません。
安全やマナーに気をつけて、ぜひ星空を見上げ、流れ星を待ってみましょう。
目次
ピークは13日明け方
2022年のペルセウス座流星群の活動が最も活発になる「極大時刻」は、8月13日10時ごろと予想されています。これは日中の時間帯なので、実際に見やすいのはその前の夜、つまり13日の未明から明け方ということになります。
見える数の予想と見やすさ
今年は8月12日が満月です(望の瞬間は10時36分)。明るく丸い月は20時ごろに昇ってきて、13日の明け方まで一晩中ずっと夜空を照らします。この月明かりの影響で暗い流れ星はかき消されてしまうため、目にすることができる流れ星の数は1時間あたり10~15個ほどと、ペルセウス座流星群としては少なめになると予想されます。
13日10時が極大予想時刻なので、夜明けが近づくにつれて流れ星の数が増えていきます。また、流れ星が飛ぶ中心となる放射点(›› 解説)の高度が未明から明け方になるにつれて上がっていくので、この点でも明け方のほうがより多く見えると期待されます。空が白み始める(天文薄明が始まる)のが3時30分~4時ごろなので、この直前ごろが最も見やすいでしょう。もちろん、もっと前の時間帯でも流れ星は飛ぶので、12日深夜から13日明け方にかけてなるべく長い時間にわたって観察してみましょう。
街中や郊外では月明かりだけでなく、街明かりや視界の広さなどの影響もあるため、空の条件の良いところよりもやや流れ星の数は減りますが、「条件の良いところでも月明かりがあるので少ない」と思えば、出かけず身近で気楽に楽しめると割り切って考えることもできそうです。ペルセウス座流星群の流れ星にはかなり明るいものもあるので、月明かりや街明かりに負けないような大流星を期待しましょう。
前後の日に観察すると見える流れ星の数は減りますが、普段の(活発な流星群のない)時と比べれば流れ星を目にできる可能性が高い時期です。昨年のように予想外の日時に極大が見られるかもしれません。さらに、7月末から8月初めごろは他の小規模な流星群の活動が複数あるおかげで、ペルセウス座流星群に限らず流れ星が見やすくなります。ぜひ星空を見上げて流れ星を待ってみましょう。
参考リンク:
- 2022年のペルセウス座流星群の情報(日本流星研究会 佐藤幹哉さん)
日にち、時間帯、空の条件に応じた個数予想など - ペルセウス座流星群解説(日本流星研究会 内山茂男さん)
極大前後の出現状況など - ペルセウス座流星群の観測条件(流星電波観測国際プロジェクト)
他の年の条件や、昼でも観測可能な電波観測について - ペルセウス座流星群 天体写真ギャラリー 【2022年】 【2021年】 【2020年】(アストロアーツ)
観察のポイント
空を広く見渡そう
流星群の流れ星は放射点を中心として四方八方に飛びますが、これは「放射点の方向にだけ流れ星が飛ぶ」ということではなく、「流れ星の光跡を反対に(流れ始めた方向に)たどっていくと放射点に到達する」ということです。つまり実際には、流れ星は方角や高さに関係なく、空のあちこちに流れます。
したがって、放射点の方向だけを見るのではなく、広い範囲を見ることがポイントです。広場や校庭、河川敷など視界の開けたところが観察に適しています。集中しすぎると視野が狭くなってしまうので、なるべくリラックスして空を広く見渡すようにすると良いでしょう。月や街灯の光を直接目に入れないように、そこから離れた方向を中心に眺めると見やすくなります。また、一般的に低空は街明かりや大気の影響を受けて見え具合が悪くなるので、高いところを眺めるほうが流れ星を見つけやすいでしょう。
15分くらいは見続けてみよう
1時間に15個の流れ星が見えるとすると、計算上は平均して4分に1個のペースで見えることになりますが、流れ方はランダムですので、立て続けに数個見えることもあれば10分以上も見えないことも珍しくありません。1つも見えないからと数分で諦めるのではなく、15~20分くらいは見上げてみましょう。
この時期、明け方の西の空には「夏の大三角」、天頂付近には「秋の四辺形」、南の空には「くじら座」、北から東の空には「カシオペヤ座」や「プレアデス星団(すばる)」などが見えています。ゆったりと星々を楽しみながら、流れ星が飛ぶのを待ってみてください。
明るい惑星も見ごろ
モバイルツールでシミュレーション
流れ星を待つ間は、星座探しをしてみましょう。iOS/Android用「星空ナビ」などのモバイルアプリを使うと、星や星座の名前がすぐにわかります。
※まぶしくないように、画面の明るさを調整しておくとよいでしょう。
そのほかのポイント
- 流れ星を観察するために長時間夜空を見上げ続けていると首が痛くなります。アウトドア用のチェアやベッドがあればベストですが、安全な場所であればグラウンドシートに寝転がって見るのも快適です。
- 場所によっては蚊の襲来に悩まされることがあります。虫除けを用意しましょう。また、夜間は意外と冷えることもあるので、念のために防寒の準備もしておきましょう。
- 大騒ぎしない、車や足元に注意する、子供だけで行動しないなど、マナーや安全にもじゅうぶん気をつけましょう。新型コロナウイルス感染症対策(人同士の間隔を空けるなど)も心がけてください。
流れ星が見える仕組み
ペルセウス座流星群とは
一年のうちある決まった時期に、星空の中のある点の付近を中心として流れ星が飛ぶ現象が流星群です。流星群は現在約110個が知られていますが、ペルセウス座流星群はしぶんぎ座流星群(1月4日ごろ)、ふたご座流星群(12月14日ごろ)とともに「三大流星群」の一つとして数えられる、活動が活発な流星群です。
ペルセウス座流星群は、毎年8月13日前後に多くの流れ星が飛びます。活動が安定しており、ほぼ期待どおりに流れ星を見ることができます。寒くないことや夏休みの時期に当たることも、流れ星観察には好条件です。
地球が塵の集まりとぶつかると、流星群の流れ星は雨のように平行に降ります。平行に飛び込んでくる流れ星が放射点を中心として放射状に流れるように見えるのは、一直線の道路の両端が遠方の一点から伸びてきているように見えるのと同じ理由です。
塵が宇宙空間を同じように移動した場合の、流れ星の見かけの動きを考えると、放射点付近では経路が短くなり、放射点から離れるほど経路が長く見えます。とくに放射点では、流れ星は観察者に向かってくるように見えます(静止流星と呼びます)。
※放射点付近では必ず短くなりますが、放射点から離れれば必ず長くなるとは限りません(塵の動きが小さければ、放射点から離れていても経路は短くなります)。
ペルセウス座流星群の起源
塵を放出して流星群の原因となる天体を母天体と呼びます。この母天体の軌道と地球の軌道が交差していると、毎年同じ時期に地球がその交点付近を通る際に、塵の集まりと地球がぶつかることになります。したがって、流星群の流れ星は毎年同じころに同じ方向から飛んでくるように見えるのです。
ペルセウス座流星群の母天体は、約135年周期で太陽系を巡っているスイフト・タットル彗星(109P)です。現在スイフト・タットル彗星は地球から遠く離れたところにありますが、彗星から放出された塵は彗星の軌道上に広がって分布しており、彗星と同じ軌道を運動しています。そのため、ペルセウス座流星群の流れ星は彗星の位置にかかわらず毎年多く見られます。
ペルセウス座とは
流星群は夏ですが、ペルセウス座が見やすいのは晩秋から初冬にかけて。「二重星団」や「カリフォルニア星雲」など、観望や撮影の対象として人気の星座です。また、アンドロメダ姫を怪物から救い出すというギリシア神話もよく知られています。
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