夏の定番天文現象「ペルセウス座流星群」。今年も8月12~13日ごろを中心に流れ星が見られそうです。
一番の見ごろは12日の深夜から13日の明け方にかけて。深夜に極大を迎え、月明かりの影響がない絶好の条件で、多くの流れ星を見ることができそうです。
安全やマナーに気をつけて、ぜひ星空を見上げ、流れ星を待ってみましょう。
目次
見ごろは12日深夜~13日明け方
2024年のペルセウス座流星群の活動が最も活発になる「極大時刻」は、8月12日23時ごろと予想されています。つまり、12日の深夜から13日の明け方が一番の見ごろということになります。
見える数の予想と見やすさ
ペルセウス座流星群の活動が極大となる12日深夜~13日明け方の月齢は8で、上弦の半月です。この月は22~23時ごろに沈むので、深夜以降は月明かりの影響がなくなり、好条件で流れ星観察ができます。視界が開けていて街明かりの影響も小さい場所では、1時間あたり40~50個の流れ星を目にできそうです。
街中や郊外では街明かりや、視野を遮る建物の影響で、空の条件の良いところよりも流れ星の数は減りますが、1時間あたり15個ほどは見えると期待されます。ペルセウス座流星群の流れ星にはかなり明るいものもあるので、ちょうど見える方向に大流星が飛ぶことを願いましょう。
また、流れ星の数は放射点(» 解説)が高くなるほど増えます(活動規模が一定と仮定した場合)。ピークからの時間差と放射点の高さという観点からは、13日0~3時ごろが最も見やすそうです。次いで、放射点は低めですが12日深夜(22~24時ごろ)も見やすいでしょう。
前後の日に観察すると見える流れ星の数は減りますが、普段の(活発な流星群のない)時と比べれば流れ星を目にできる可能性が高い時期です。2021年のように予想外の日時に極大が見られるかもしれません。さらに、7月末から8月初めごろは他の小規模な流星群の活動が複数あるおかげで、ペルセウス座流星群に限らず流れ星が見やすくなります。ぜひ星空を見上げて流れ星を待ってみましょう。
参考リンク:
- 2024年のペルセウス座流星群の情報(日本流星研究会 佐藤幹哉さん)
日にち、時間帯、空の条件に応じた個数予想など - ペルセウス座流星群解説(日本流星研究会 内山茂男さん)
極大前後の出現状況など - ペルセウス座流星群の観測条件(流星電波観測国際プロジェクト)
他の年の条件や、昼でも観測可能な電波観測について - ペルセウス座流星群 天体写真ギャラリー 【2023年】 【2022年】 【2021年】(アストロアーツ)
観察のポイント
空を広く見渡そう
流星群の流れ星は放射点を中心として四方八方に飛びますが、「放射点の近くだけ流れ星が飛ぶ」わけではありません、流れ星は「方角や高さに関係なく、空のあちこちに流れ」ます。いろいろなところに飛んだ複数の流れ星の光跡を反対に(流れ始めた方向に)たどっていくと交わる点が放射点です。
したがって、放射点の方向だけを見るのではなく、広い範囲を見ることがポイントです。広場や校庭、河川敷など視界の開けたところが観察に適しています。集中しすぎると視野が狭くなってしまうので、なるべくリラックスして空を広く見渡すようにすると良いでしょう。
街灯の光を直接目に入れないようにして、そこから離れた方向を中心に眺めると見やすくなります。また、一般的に低空は街明かりや大気の影響を受けて見え具合が悪くなるので、高いところを眺めるほうが流れ星を見つけやすいでしょう。
15分くらいは見続けてみよう
1時間に50個の流れ星が見えるとすると、計算上は平均して約1分に1個のペースで見えることになりますが、流れ方はランダムですので、立て続けに数個見えることもあれば10分以上も見えないことも珍しくありません。1つも見えないからと数分で諦めるのではなく、15~20分くらいは見上げてみましょう。
この時期、未明~明け方の西の空には「夏の大三角」、天頂付近には「秋の四辺形」、南の空には「くじら座」や土星、北から東の空には「カシオペヤ座」や「プレアデス星団(すばる)」、接近中の火星と木星などが見えています。ゆったりと星々を楽しみながら、流れ星が飛ぶのを待ってみてください。
土星も見ごろ
8月中旬には土星がほぼ一晩中見えます。観察や撮影の合間に空を眺めていると、土星の近くに流れ星が飛ぶかもしれません。
そのほかのポイント
- 流れ星を観察するために長時間夜空を見上げ続けていると首が痛くなります。アウトドア用のチェアやベッドがあればベストですが、安全な場所であればグラウンドシートに寝転がって見るのも快適です。
- 場所によっては蚊に悩まされることがあります。虫除けを用意しましょう。また、夜間は意外と冷えることもあるので、念のために防寒の準備もしておきましょう。
- 大騒ぎしない、車や足元に注意する、子供だけで行動しないなど、マナーや安全にもじゅうぶん気をつけましょう。
流れ星が見える仕組み
流れ星(流星)は、宇宙空間に散らばっている小さな塵(流星物質)が地球の大気圏に飛び込んで大気中の原子や分子と衝突し、上空100km前後でプラズマ発光する現象です。プラズマは大気中の元素と流星物質を構成する元素の両方に由来し、元素の違いが色の違いとなって現れます。
平行に降る、流星群の流れ星
地球が塵の集まりとぶつかると、流星群の流れ星は雨のように平行に降ります。平行に飛び込んでくる流れ星が放射点を中心として放射状に流れるように見えるのは、一直線の道路の両端が遠方の一点から伸びてきているように見えるのと同じ理由です。
塵が宇宙空間を同じように移動した場合の、流れ星の見かけの動きを考えると、放射点付近では経路が短くなり、放射点から離れるほど経路が長く見えます。とくに放射点では、流れ星は観察者に向かってくるように見えます(静止流星と呼びます)。
※放射点付近では必ず短くなりますが、放射点から離れれば必ず長くなるとは限りません(塵の動きが小さければ、放射点から離れていても経路は短くなります)。
ペルセウス座流星群の起源
塵を放出して流星群の原因となる天体を母天体と呼びます。この母天体の軌道と地球の軌道が交差していると、毎年同じ時期に地球がその交点付近を通る際に、塵の集まりと地球がぶつかることになります。したがって、流星群の流れ星は毎年同じころに同じ方向から飛んでくるように見えるのです。
ペルセウス座流星群の母天体は、約135年周期で太陽系を巡っているスイフト・タットル彗星(109P)です。現在スイフト・タットル彗星は地球から遠く離れたところにありますが、彗星から放出された塵は彗星の軌道上に広がって分布しており、彗星と同じ軌道を運動しています。そのため、ペルセウス座流星群の流れ星は彗星の位置にかかわらず毎年多く見られます。
ペルセウス座とは
流星群は夏ですが、ペルセウス座が見やすいのは晩秋から初冬にかけて。「二重星団」や「カリフォルニア星雲」など、観望や撮影の対象として人気の星座です。また、アンドロメダ姫を怪物から救い出すというギリシア神話もよく知られています。
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