小惑星・準惑星探査機ドーン、11年間のミッションを終了

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2007年に打ち上げられ、小惑星ベスタと準惑星ケレスを調べてきたNASAの探査機「ドーン」が、燃料切れのため、11年間にわたるミッションを終了した。

【2018年11月8日 NASA JPL

今月初めごろ、NASAの探査機「ドーン」の運用チームは、準惑星ケレスを周回中の探査機から届くはずの通信を受け取ることができなかった。探査機の向きを変えるために必要な燃料が枯渇し、地球の方向へ通信用アンテナを向けたり、充電に使用する発電パネルを太陽に向けたりすることができなくなったとみられている。

「探査機に搭載された驚くべき技術や、探査機がもたらした重要な科学的成果、そして多くの発見を可能にしたチーム全体を称え、本日ここにドーン・ミッションの終了を祝賀します。ドーンが集めた驚異的なデータや画像の数々は、太陽系の歴史や進化を理解するうえでとても重要なものです」(NASA科学ミッション局副長官 Thomas Zurbuchenさん)。

2007年9月に打ち上げられたドーンは、イオンエンジンを使って火星軌道と木星軌道の間に広がる小惑星帯を目指して航行し、2011年7月に小惑星帯で2番目に大きい天体である小惑星ベスタに到着して周回探査を開始した。小惑星帯の天体の周回探査は史上初めてのことだ。

約1年にわたりベスタを探査したドーンは、2012年9月にベスタから離れて次の目標に向かい、2015年3月にケレスに到着した。以降これまで3年半にわたってケレスの周回探査を続けてきたが、準惑星の周回探査、同一探査機による2天体の周回探査も、ドーンが史上初めて成し遂げた偉業だ。打ち上げ以来11年間の運用期間でドーンが飛行した総距離は約69億kmに及ぶ。

ケレスに到着したドーン
2015年3月にケレスに到着した「ドーン」の想像図(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA)

ドーンによる探査データから、異なる進化をしてきたと考えられているケレスとベスタの比較研究が可能になる。ドーンは、初期の太陽系における天体の形成と進化の仕方にとって、天体の場所がどれほど重要であるかを示した。また、準惑星の歴史において長期にわたり海が存在していた可能性があるというアイディアを強く支持する成果ももたらした。

ドーン・ミッションの紹介動画「Dusk for Dawn: NASA Mission to the Asteroid Belt」(提供:NASA JPL)

ドーン・ミッションには、昨年9月に土星の大気へ突入して探査を終了したNASAの土星探査機「カッシーニ」のような幕引きのシナリオはない。一方で探査機によってケレスの環境を汚染しないようにするため、ドーンは少なくとも今後20年間(実際にはほぼ確実に50年以上)はケレスを周回し続けることになっている。

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