35km上空からクローズアップ撮影されたケレス
【2018年7月9日 NASA JPL】
NASAの探査機「ドーン」は、準惑星ケレスを3年以上にわたって周回しながら、撮影やデータ計測を行っている。そのドーンは6月6日にエンジンを噴射し、ケレスの上空約35kmを飛行する最後の周回軌道へと入った。これまでの最低飛行高度が約385kmだったのに比べて、約10倍も表面に接近する軌道上から得られる画像は、格段に鮮明なものになる。
これまでの観測で、ケレスの「オッカトル・クレーター」に非常に明るい構造が存在することが知られている。これは炭酸ナトリウムの堆積物でできたものだ。今回、低軌道からオッカトル・クレーターを撮影したことにより、クレーター内の領域「ウィナリア・ファキュリー(Vinalia Faculae)」にある明るい物質と暗い物質の複雑な様子が詳細に見えるようになった。
また、オッカトル・クレーターの中心にある「ケレアリア・ファキュラ(Cerealia Facula)」付近の画像では、この地形の頂上が平らであることなどがはっきりと見られる。「これらの素晴らしい画像の取得は、ドーンにとって地球以外の天体探査における最重要課題の一つでしたが、結果は想像以上のものとなりました」(ドーン・プロジェクトマネージャー Marc Raymanさん)。
これらの画像や今後数週間かけてドーンが撮影する画像から、炭酸塩の堆積物の起源に関する謎を解く手がかが得られることが期待される。研究者たちはとくに、この物質が、表面に現れた要因が浅い地下に溜まっている鉱物を含んだ水によるものか、もっと深い場所にある塩分を多く含んだ水が地表の割れ目から出てきたことによるものかを知りたいと考えている。
低軌道からの探査では、ケレスの組成や地下の様子なども、これまで以上に詳しく明らかにされるだろう。「ドーンが最初に取得した、非常に明るい光点を持つケレスの画像に、私たちは招き寄せられました。ドーンが行ってきた観測は、この魅力的な準惑星の性質や歴史に迫るもので、実に刺激的です。今後、低空軌道から得られる多くのデータは、ケレスに関する理論の検証にとくに適したものになります」(ドーン主任研究員 Carol Raymondさん)。
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