ケレスの内部進化と表面の特徴の関係

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最新の研究によると、準惑星「ケレス」の表面に見られる特徴と内部進化との関係は思った以上に深いようだ。

【2017年11月16日 NASA JPL

NASA JPLのJennifer Scullyさんたちの研究チームが探査機「ドーン」の観測画像を分析し、準惑星ケレス表面の地形と内部進化に関する手がかりを調べる研究を行った。

Scullyさんたちはまず、ケレス上で衝突クレーターの外に見られる、長さ1km以上の線状に伸びる2000個以上の地形の分布図を作成した。そして、表面下から上昇する物質と地形の関係を明らかにするため、ドーンが観測した2種類の線状地形の成り立ちの違いを次のように解釈した。

最もよく見られる線状地形である「2次クレーターの連なり」は大きな衝突クレーターが形成された際に飛び散った破片できた円形のくぼみが長くつながったもの、「くぼみの連なり(ピットチェーン)」は表面下の割れ目が表面に現れたもの、という違いだ。このうち内部進化に関する情報を得られるのは、2つの線状地形のうち後者の「くぼみの連なり」地形ということになる。

ケレス表面のくぼみの連なり
ケレスの表面に見られる「Samhain Catenae」と呼ばれるくぼみの連なり(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA)

2次クレーターの連なりとくぼみの連なりは非常によく似ており、その区別は難しい。しかし、くぼみの連なりが不規則であるのに比べて2次クレーターの連なりは比較的丸いことや、2次クレーターの周囲に見られることが多い盛り上がった縁がくぼみのほうにはないことなど、細かい違いをもとにして識別がなされた。

では、くぼみの連なりのもとと考えられる割れ目の成因は何だろうか。この地形はケレス表面上で均等に分布していないので、全球規模の地下海が凍って形成されたとは考えにくい。また、大きな天体が衝突した証拠も見られないので、そうした衝突が原因とも考えられない。

最も可能性として高いのは、数億年前に、ケレスの地表下にあった周囲より密度の低い物質が上昇し、地殻に無数の割れ目を作ったという考え方だ。

今回の成果はケレスの内部進化のモデル構築に役立つだろう。そのモデルから、線状地形の近くで物質の上昇が起こったのかどうかを検証するのが次の課題となる。

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