ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、主鏡などの展開完了
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)は直径6.5mの主鏡で光を集め、テニスコートほどの大きさ(約21m×14m)のサンシールドで太陽などからの熱を防ぐ。これらはあまりにも大きいため、昨年12月25日(日本時間、以下同)にアリアン5ロケットで打ち上げられた際は折りたたまれていた。
打ち上げの3日後にサンシールドの展開が始まり、8日間かけてピンと張った状態に固定された。続いて3本の支柱に支えられた副鏡と、主鏡の背後に搭載されているラジエーターが展開され、最後に2か所で折られていた主鏡が片側ずつ広げられている。1月9日、主鏡を構成するパネルが所定の位置にあることが確認され、望遠鏡の主要部の展開が完了した。
「前人未踏の成果を実現した、いくつもの大陸と世代にまたがる(出身者を擁する)このチームをとても誇りに思います。望遠鏡の展開がうまくいったことは、NASAが提供しうる最高のもの、すなわち未知の発見に向けた大胆で困難なことに挑戦しようという意思のよい例です」(NASA科学ミッション局副長官 Thomas Zurbuchenさん)。
1月13日20時時点でJWSTは地球から約120万kmの位置を航行中だ。今後スラスターの噴射で軌道を修正し、1月下旬に地球から約150万km離れたラグランジュ点のL2付近の最終軌道に入る。
一方、展開された主鏡は18枚の鏡が合わさってできているが、その裏側には各部分の位置を微調整するためのアクチュエーターが126個ある。今後はこれらのアクチュエーターを動かし、数か月かけて光学系を調節する。その後、科学機器のキャリブレーションを経て、夏に最初の画像が得られる見通しだ。
〈参照〉
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