JWSTによる「創造の柱」の新しい描像
【2022年10月26日 ヨーロッパ宇宙機関】
へび座の方向6500光年の距離にある星雲M16、通称「わし星雲」の中心部に見られる柱状のガス塊「創造の柱(Pillars of Creation)」は、1995年にハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影したことで一躍有名になった構造である。その「創造の柱」を、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の赤外線の眼がとらえた。
HSTの可視光線画像では奥の光を遮っていた塵の柱も、JWSTの近赤外線画像ではだいぶ見通せるようになり、生まれたばかりの原始星が赤い球体としてとらえられている。また、若い星から放出されるジェットなどが柱の物質に衝突し、エネルギーを受けた部分が溶岩のように輝いている。
この画像は見た目に美しいだけではなく、観測データが科学的にも、星の数やガスや塵の量を正確に特定して星形成モデルを見直したり、星がどのように形成され、数百万年かけて塵の雲の中から姿を現すようになるのかについての理解を深めたりするのに役立つだろう。
フル解像度(8423×14589ピクセル)の画像は、JWSTのウェブサイトからダウンロード可能だ。
〈参照〉
- ESA:
- Webb Space Telescope:Pillars of Creation (NIRCam Image)
〈関連リンク〉
- NASA - James Webb Space Telescope:
- STScI:
- HubbleSite
- アストロアーツ:M16
関連記事
- 2024/03/18 ハッブル定数の食い違い、JWSTの観測でも裏付けられる
- 2023/08/07 JWSTがとらえたリング星雲
- 2023/07/28 星座八十八夜 #9 分割されている唯一の星座「へび座」
- 2023/01/27 銀河中心から外れた位置に見つかった巨大エネルギー源
- 2023/01/20 宇宙初期の銀河の大きさと明るさの関係
- 2022/12/21 JWST、生まれたての星を取り巻く有機分子をとらえる
- 2022/12/09 JWSTの画像に写っていた「赤い渦巻銀河」
- 2022/10/17 連星のダンスで生み出された17重のダストリング
- 2022/09/29 JWST、海王星の環や衛星を撮影
- 2022/09/08 JWSTが系外惑星を初めて直接撮影
- 2022/08/09 最遠銀河の候補をJWSTが撮影、赤方偏移16.7
- 2022/08/05 JWSTが車輪銀河を撮影
- 2022/07/14 ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の初成果
- 2022/05/10 JWSTの最終調整完了、科学機器の試運転へ
- 2022/03/25 JWST、鏡が揃って試験観測の結果は上々
- 2022/02/21 JWSTが主鏡調整用に恒星を初撮影
- 2022/01/26 ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が最終軌道に到達
- 2022/01/13 ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、主鏡などの展開完了
- 2021/12/27 ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、打ち上げ成功
- 2018/06/08 わし星雲の「創造の柱」を支える磁場構造