天王星と海王星に新衛星発見
【2024年2月29日 カーネギー研究所】
2月23日付けの国際天文学連合小惑星センター・小惑星電子回報で、天王星に1個、海王星に2個の衛星の発見が報告された。いずれも、これまでに地上からの観測で発見された天王星や海王星の衛星の中では最も暗いものだ。天王星の新衛星発見はおよそ20年ぶりで、今回の発見により、天王星で確認されている衛星数は28個、海王星では16個となった。
3つの衛星のうち、天王星系に新たに仲間入りした衛星「S/2023 U1」は、2023年11月にチリ・ラスカンパナス天文台のマゼラン望遠鏡で観測されたデータから、米・カーネギー研究所のScott Sheppardさんたちが発見したものだ。天王星の周りを680日の周期で公転していて、大きさはわずか8kmと天王星の既知の衛星の中では最小とみられている。天王星の衛星の大半は作家シェイクスピアの作品の登場人物に因んだ名前が付けられていて、この衛星も確定後には同様の名前になるだろう。
今回発見が報告された海王星の衛星2つのうちの明るい方である「S/2002 N5」も、Sheppardさんたちが2021年9月にマゼラン望遠鏡や米・ハワイのすばる望遠鏡を使った観測から発見したものだ(過去のデータの再検証で2002年の観測が見つかったため、仮符号はS/2002 N5となっている)。大きさは約23kmと推測され、ほぼ9年かけて海王星の周りを回っている。
残るS/2021 N1も2021年9月にすばる望遠鏡などによって発見された14kmほどの衛星で、約27年かけて海王星の周りを回っている。これら2衛星の名前は、他の海王星の衛星と同様に神話に登場する海の精などに因むものとなるだろう。
今回発見された3つの衛星はどれも惑星から遠く離れていて、傾いた楕円軌道を持つことから、天王星や海王星が作られて間もないころに惑星の重力に捕らえられたものと考えられる。こうした衛星について調べることは、初期の太陽系の姿を理解することにつながる。
〈参照〉
- Carnegie Science:New moons of Uranus and Neptune announced
- すばる望遠鏡:すばる望遠鏡、巨大氷惑星の周りで最も暗い月を発見
- MPEC:2024-D112 : S/2021 N 1 / 2024-D113 : S/2023 U 1 / 2024-D114 : S/2002 N 5
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