探査機「ベピコロンボ」、4回目の水星スイングバイを完了
日本とヨーロッパの共同ミッション「ベピコロンボ」は、JAXAの水星磁気圏探査機「みお(MMO)」とヨーロッパ宇宙機関(ESA)の水星表面探査機「MPO」の2機が1つになって、2018年10月の打ち上げから水星へ向かって飛行を続けている。
今年5月、電気推進モジュール(MTM;Mercury Transfer Module)の電源系に不具合が発生し、イオンエンジンを最大出力で噴射できないことが明らかになった。原因究明と対策検討の結果、今後MTMのイオンエンジンを最大出力の90%以下で運用することが決まったが、この影響で水星到着(周回軌道投入)は当初の計画から約1年遅れ、2026年11月になる予定だ。
9月5日(日本時間、以下同)、ベピコロンボは4回目の水星スイングバイを実施した。このスイングバイの実施自体は当初の計画通りだが、MTMの不具合に伴う軌道変更により、最接近時の飛行高度は従来の計画より35kmほど低く設定された。探査機は午前6時48分に水星の表面から高度165kmにまで接近し、同計画としてはこれまでで最も鮮明な水星の画像を取得した。また、水星到着後に行う科学観測に先駆けて多くの観測機器が稼働し、探査機周辺の磁場やプラズマ粒子などを測定した。
「今回の主な目的は、太陽に対するベピコロンボの相対速度を低下させ、探査機の太陽周回軌道周期を水星の軌道周期に非常に近い88日にすることでした。結果は大成功でした。さらに、水星到着後に探査機が周回する軌道上からは決して到達できない場所や視点から、画像を取得したり科学的な観測を行ったりする機会が得られました」(ベピコロンボ フライトダイナミクスマネージャー Frank Budnikさん)。
「ベピコロンボは水星を訪れる史上3番目のミッションです。今回の接近で収集された画像と科学データは、水星到着後の本格観測への興味をかき立てる序曲となるものです」(ベピコロンボ モニタリングカメラ撮像チームコーディネーター Jack Wrightさん)。
今後、ベピコロンボは12月1日と来年1月8日にそれぞれ5回目と6回目の水星フライバイを行い、水星の公転軌道にさらに同調した軌道に入る。その後約2年間の通常巡航運用を経て、2026年11月に水星を周回する軌道に入る。
〈参照〉
- ESA:
- JAXA:国際水星探査計画「ベピコロンボ(BepiColombo)」の水星到着時期の変更
〈関連リンク〉
- JAXA:
- 水星磁気圏探査機「みお」X(@JAXA_MMO)
- ESA:BepiColombo
- アストロアーツ:
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