探査機「ベピコロンボ」が5回目の水星スイングバイを完了

このエントリーをはてなブックマークに追加
日本時間12月1日、日欧の水星探査機「ベピコロンボ」が5回目の水星スイングバイを実施して軌道を変更した。水星到着は2026年11月の予定だ。

【2024年12月4日 ヨーロッパ宇宙機関

2018年10月に打ち上げられた、日本とヨーロッパの共同ミッション「ベピコロンボ」は、JAXAの水星磁気圏探査機「みお(MMO)」とヨーロッパ宇宙機関(ESA)の水星表面探査機「MPO」が一体となり、2026年11月の水星到着を目指して推進モジュールとともに飛行を続けている。

ベピコロンボでは、惑星探査機としては史上最多となる計9回の惑星スイングバイが予定されている。そのうちの8回目、水星スイングバイとしては5回目が、12月1日23時23分(日本時間、以下同)に実施された。探査機は水星の上空3万7628kmを通過して軌道を修正し、水星の公転軌道にさらに同調したコースに進路を変更した。

5回目水星スイングバイのインフォグラフィック
ベピコロンボ」の5回目水星スイングバイのインフォグラフィック。画像クリックで表示拡大(提供:ESA

今回のスイングバイでは、探査機に搭載されている2つの磁力計「MPO-MAG」と「MMO-MGF」、ガンマ線・中性子分光計「MGNS」、X線・粒子分光計「SIXS」、塵モニター「MDM」、磁場・プラズマ波・電波検出器「PWI」のスイッチが入れられ、水星磁場の外側の環境、とくに太陽風として太陽からやってくる粒子の連続的な流れなどが観測された。

また、水星放射計・赤外線分光撮像装置「MERTIS」が探査機としては史上初めて、水星を中間赤外線(波長7~14μm)で観測した。高い分解能を持つMERTISは、水星の赤外線放射の量を全球規模で計測し、水星のどの領域がどのような種類の鉱物で構成されているのかを明らかにする予定である。

12月2日19時46分に5万1000kmの距離から撮影された水星
12月2日19時46分に5万1000kmの距離から撮影された水星(提供:ESA

今後ベピコロンボは、来年1月8日に一連のスイングバイのうち最後となる水星スイングバイを行い、通常の巡航運用を経て、2026年11月に水星に到着する。到着後に実施される推進モジュールからの探査機の分離や、世界初となる2機の探査機の周回軌道への投入は、ミッションにおける最もクリティカルな段階となるため、運用チームは連日シーケンスの確認や訓練を行って準備を進めている。