夜桜と赤い月 4日夜9時、全国で皆既月食

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4月4日の夜、日本全国で皆既月食が見られる。月が欠けて見えるのは19時過ぎから23時前までで、そのうち皆既食となるのは21時前後の約12分間だけと短い。チャンスを逃さないようにしよう。夜桜との2ショットも楽しめるかも。

【2015年3月31日 アストロアーツ「皆既月食特集ページ」

皆既食と東京スカイツリー
2014年10月8日の皆既月食連続写真と東京スカイツリー。クリックで投稿ギャラリーのページへ(撮影:佐藤純哉さん)

4月4日(土)の夜、今年最注目の天文現象である皆既月食が日本全国で見られる。月食は、満月が地球の影に入って一部または全体が暗く見える現象で、特に皆既月食では、月全体が地球の影にすっぽり入った状態となる。

日本では昨年10月8日にも皆既月食が見られたばかりなので(参照:「8日の皆既月食 秋空に浮かんだ赤い月」)、記憶に新しい人も多いだろう。4日の月食では、東の空に現われた満月が19時14分ごろに欠け始め、だんだん空高く上りながら細くなっていき、20時54分に皆既となる。皆既の状態はわずか12分で終わり、21時6分から22時45分にかけてまた元の満月の姿に戻っていく。

月食の経過時刻
月食の経過時刻(「皆既月食特集ページ」より)

皆既食が約1時間続いた前回と比べ、今回は皆既の継続時間が12分間とひじょうに短い。これは月が地球の影の中心近くを通るか端付近を通るかの違いによるものだ。時間が短い分、ほどよい緊張感で経過を見守ることができるかもしれない。

皆既食の継続時間の違い
月が地球の影の中心付近を通るか、端付近を通るかによって皆既食の継続時間が異なる(「皆既月食特集ページ」より。「ステラナビゲータ」でシミュレーション作成)

月食では、空の中で月が見える位置(方位と高度)や月の傾きは観測地によって異なるが、時刻経過は全世界どこでも同時進行となる。日本では位置も時間帯も見やすく、特に機材がなくてもいつもの月を見るような感覚で眺められるだろう。双眼鏡や天体望遠鏡があれば、月の色や形の変化がより細かくダイナミックに楽しめる。

皆既中の月も全く見えなくなるわけではなく、地球の大気を通過した光が月面を照らすため、全体が赤っぽい暗い満月として見える。皆既前後の色の変化のようすなどは月食ごとに毎回微妙に異なるので、「一期一会の月食」として楽しみたい。特に今年は桜シーズン。夜桜見物がてら月食、というぜいたくな春の一夜が過ごせそうだ。

3月31日時点の天気予報はあまりかんばしくないが、てるてる坊主を作って当日の晴れを祈ろう。もし曇ったり雨が降った場合には、インターネットで他の地域からの中継を見ることもできる。海外からの中継もあるので要チェック(中継先参照:「皆既月食特集ページ ネットや観望会で見よう」)。

iPhone用アプリ「iステラ」で月食をシミュレーション
iPhone用「iステラ」などの星座早見アプリを使えば、月食の経過を見たり、空に見える星の名前を調べたりすることができて便利。月の出の時刻や位置もわかるほか、月食の進み方を予習することもできる。

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