2例目となる重力波の直接検出、ブラックホール同士の合体で発生

このエントリーをはてなブックマークに追加
2015年12月26日、レーザー干渉計型重力波検出器「LIGO」が2例目となる重力波の直接検出に成功した。

【2016年6月16日 LIGO CaltechMITEGO

2015年12月26日に米国のレーザー干渉計型重力波検出器「LIGO」が重力波を検出したことが、本日6月16日(日本時間)に発表された。今年2月の発表(2015年9月の現象)に次ぐ、史上2例目となる重力波の直接検出となる。

LIGOは、3000km以上離れた米・ワシントン州ハンフォードとルイジアナ州リビングストンに設置されている双子の重力波検出器だ。1例目の初検出の際はデータ中にはっきりとしたピークが見られたのだが、今回の重力波はデータ中に埋もれるような微かなものであり、最新のデータ分析技術を用いて重力波であることが確認された。

重力波をとらえることは、その起源である天体や重力の持つ特質についての情報を得る唯一の方法だ。今回の現象では、14億光年彼方で太陽質量の7.5倍と14.2倍のブラックホールが光速の半分ほどの速度で合体し、その最後の瞬間に重力波が発生したとみられている。合体後は太陽の20.8倍の質量を持つ自転するブラックホールができ、残りの太陽質量程度のエネルギーが重力波として放射されたのだ。

ブラックホール同士が合体し重力波が広がる様子を表した動画(提供:T. Pyle/LIGO/MIT)

「1例目に続いて重力波を検出でき、実際にブラックホールの連星系という種の天体を観測できているといえるでしょう。今後はもっと頻繁に観測されそうです」(米・マサチューセッツ工科大学 Salvatore Vitaleさん)。

今後観測例が増えれば、どのようにしてブラックホールが合体するのかといった疑問の答えが得られるかもしれない。もともと連星であった天体のそれぞれがブラックホールになって合体するという説や、ブラックホールが数多く存在する領域で2つのブラックホールが出会って最終的に合体するという説が考えられている。「両シナリオはかなり異なるものですが、実際どちらがより頻繁に起こっているのかを知りたいです」(Vitaleさん)。

この秋には、LIGOをバックアップする全長3kmの重力波干渉計「Virgo(ヴァーゴ)」が伊・ピサで稼働を始める。Virgoの感度はLIGOを超えることから、初期宇宙の観測にも期待が高まっている。

「宇宙がたった38万歳程度のころは、光さえも直進できず雲のように不透明でしたが、重力波はそのような空間さえも通り抜けることができたはずです。重力波こそ、初期宇宙のさまざまな現象を調べる唯一のツールなのです」(Vitaleさん)。

〈参照〉

〈関連リンク〉

〈関連ニュース〉

関連記事