LIGO、3度目の重力波検出

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重力波検出器「LIGO」が、3度目となる重力波の検出に成功した。約30億光年彼方で2つのブラックホールが合体し、太陽の約49倍の質量を持つブラックホールが形成された際に発生したものだ。

【2017年6月5日 LIGO

アメリカに設置された双子のレーザー干渉計型重力波検出器「LIGO」が今年1月4日に重力波の検出に成功していたことが発表された。2015年9月、同年12月に続く3度目の検出となる。

今回LIGOがとらえた重力波は、過去2例と同様に2つのブラックホールが合体した現象で放出されたものだ。太陽の19倍と32倍の質量を持つ恒星質量ブラックホールが合体して太陽の49倍のブラックホールができ、太陽2個分の質量のエネルギーが重力波として放出された。過去2例の合体後のブラックホールの質量は太陽の62倍と21倍だったので、今回のものはちょうどその間になる。「太陽の20倍以上の質量を持つ恒星質量ブラックホールの存在について、更なる確証が得られました。LIGO以前には存在が知られていなかったものです」(米・マサチューセッツ工科大学 David Shoemakerさん)。

また、今回の現象は30億光年彼方で発生したものと見られており、1回目(13億光年)、2回目(14億光年)よりもずっと遠い。

3度目となった検出では、合体前のブラックホールの自転に関する手がかりが得られた。ブラックホ―ルのペアは互いの周りを回りながら、同時にそれぞれが自転している。公転と自転が同じ向きの場合もあれば、反対のことも、公転軌道面に対して自転軸が大きく傾いていることもある。今回のデータでは、合体前のブラックホールのうち少なくとも一つの自転は公転と同じ向きではなかったことが示唆されている。

公転に対して傾いて自転する2つのブラックホールの想像図
公転に対して傾いて自転する2つのブラックホールの想像図(提供:LIGO/Caltech/MIT/Sonoma State (Aurore Simonnet))

このずれは、ブラックホール連星系の形成にヒントを与えるものとなる。ブラックホール連星系の形成モデルには主に2つあり、そのうち一つは、連星系の星それぞれが爆発して2つのブラックホ―ルが同時に誕生するというものだ。この場合、元の星は公転と同じ向きに自転していたためブラックホールも公転と自転が同じ向きに揃う。

もう一方のモデルでは、ブラックホール同士は混雑した星団内で出会い、星団の中心に沈んで連星系となる。このシナリオの場合、ブラックホールの自転は公転に対してどんな方向もありうる。3度目の重力波検出でLIGOが得たいくつかの証拠は、最終的に合体したブラックホール連星が形成されたのは密集した星団内だったというモデルの方がやや可能性が高いことを示している。

「(3度目の検出で)いよいよブラックホール連星系について統計を集め始めるところです。ブラックホ―ル連星系形成に関するモデルのうちいくつかは現時点ですでに他より有力ですが、将来的にはもっと絞り込めるでしょう」(米・カリフォルニア工科大学 河邊径太さん)。

また、アインシュタインの一般相対性理論の検証として、重力波に「分散」と呼ばれる効果が見られないこともあらためて確認された。

「ブラックホ―ル同士の衝突・合体による3度目の重力波を検出し、LIGOは宇宙のダークサイドを明らかにできる強力な検出器としての地位を確立しつつあります。こうした現象の観測にLIGOが適している一方で、私たちは中性子星同士の衝突(による重力波の検出)という別のタイプの激しい天文現象が見られることに期待しています」(米・カリフォルニア工科大学 David Reitzeさん)。

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