彩層の速い時間変動とコロナループ加熱の関係
【2017年10月11日 国立天文台】
日米仏が共同実施している太陽観測ロケット実験「CLASP」では搭載された機器を使って、太陽の活動領域である彩層を0.6秒という非常に高い時間分解能で観測している。
JAXA宇宙科学研究所の石川真之介さんたちの研究チームはこの時間分解能を生かすため、30秒以下で発生する速い時間変動のみに注目した解析を行い、大きな時間変動がどこで起こっているかを調べた。
その結果をNASAの太陽観測衛星「SDO」がとらえたコロナループ画像と比較したところ、コロナループの足元で彩層の速い時間変化が大きいことがわかった。コロナループの加熱に速い時間変動が関わっている可能性を示唆する結果である。
次に、80万度の温度に感度を持つ波長で観測された比較的低温のループと、200万度に感度を持つ波長で観測された比較的高温のループについて、コロナループの温度とループ足元の彩層での速い時間変化を比較したところ、彩層の速い時間変動に違いは見られなかった。
撮像装置で観測された速い時間変動によってコロナループが加熱されているとすると、温度の高いループの足元ほど時間変動が大きいことが予測される。しかし、今回の結果ではそのようなふるまいは見られておらず、少なくともコロナループの温度差を作り出すうえで速い時間変動は寄与していないことが示されている。
〈参照〉
- 国立天文台:CLASP 撮像装置により観測された彩層の速い時間変動とコロナループとの関係
- The Astrophysical Journal:CLASP/SJ Observations of Rapid Time Variations in the Lyα Emission in a Solar Active Region 論文
〈関連リンク〉
- 国立天文台 科学衛星「ひので」
- SDO
- アストロアーツ 投稿画像ギャラリー:太陽
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