流星が地球大気で爆発するときの振る舞いをシミュレーションで再現

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流星が地球大気に突入し爆発する際の様子がシミュレーションで再現され、2013年のチェリャビンスク事象の詳細なプロセスが明らかになった。大気が衝突天体から地球を守ってくれていることがよくわかる成果だ。

【2017年12月18日 パデュー大学

宇宙空間には砂粒のような小さな塵が無数に漂っており、それが地球大気に衝突することで発光し、流星となって見られる。こうした流星の元となる流星体が地球大気中で爆発することは知られていたが、その原因はよくわかっていない。

2013年2月にロシアに落下したチェリャビンスク隕石の爆発は多くの人に目撃されており、衝撃波による多数の被害を生むなど影響も大きかった。このチェリャビンスク隕石の重さはおよそ1万tと推定されているが、周辺では2000tほどの破片しか回収されなかったため、おそらく地球大気中で崩壊したと考えられている。

米・パデュー大学のM. E. Tabetahさんたちはシミュレーションによって、流星体と大気の振る舞いを調べた。従来は流星体の中に入ってくる空気がどのように爆発に影響を与えているかについては考えられていなかったが、今回の研究では多孔質である流星体の内部に空気が入り込むことを考慮している。

シミュレーションによる流星体の地球大気でのふるまい
チェリャビンスク隕石と同程度の大きさの隕石が地球大気に対地速度15km/s、入射角45度で突入してきたときの流星体のふるまい。図上の数字は地球大気突入後の経過時間と高度を示す。色は流星体の固体比を示す。それぞれの図中の左側は多孔率10%、右側は多孔率30%流星体のシミュレーション(提供:Jay Melosh)

シミュレーションの結果、落下してきた流星体の前方は高圧になっており、真空状態になった流星体の後ろに空気が引き寄せられることで流星体の内部に空気が流れ、地上から数十kmの高さで流星体の内部から爆発することがわかった。また、多孔性の高い流星体は大気中でほとんど崩壊してしまうが、多孔性が低い流星体は多少は崩壊しても分散しないことも示された。

「地球大気中ではこれまでに考えられていたよりも多くのことが起こっています。地球大気は、小さな隕石の衝突から想像以上に私たちを守ってくれているということがわかりました」(パデュー大学 Jay Meloshさん)。