天宮1号、南太平洋上空で大気圏再突入
【2018年4月2日 中国戴人航天工程弁公室】
中国の有人宇宙ミッションを統括している中国戴人航天工程弁公室(China Manned Space Engineering Office; CMSE)は2日、北京航天飛行制御センターなどによるモニタリングや分析から、4月2日9時15分ごろ(日本時間、以下同)に宇宙ステーション「天宮1号」が太平洋中部地域の上空で大気圏に再突入したことを確認したと発表した。
また、米戦略軍統合軍宇宙構成部隊(Joint Force Space Component Commander; JFSCC)も、天宮1号が4月2日9時16分ごろに南太平洋上空で大気圏に再突入したことを確認したと発表した。
インターネットで天宮1号のリアルタイム追跡情報を提供していた米・エアロスペース社の軌道・再突入デブリ研究センター(Center for Orbital and Reentry Debris Studies; CORDS)によれば、再突入地点は南緯13.6度、西経164.3度(南太平洋のクック諸島付近)となっている。
中国当局の発表では、天宮1号の機体の大部分は再突入によって燃え尽きたとされているが、落下物の有無などはまだわかっていない。
天宮1号の監視・追跡を行っていた独・フラウンホーファー高周波物理学・レーダー技術研究所(Fraunhofer-Institut für Hochfrequenzphysik und Radartechnik; FHR)では、4月1日朝(中央ヨーロッパ夏時間)に高度約161kmを飛行する天宮1号の姿をレーダー観測で確認している。この時点では、機体の損傷や分解などは見られていない。
2011年9月29日に打ち上げられた中国初の宇宙ステーション「天宮1号」は、同年11月3日に無人宇宙船「神舟8号」とのドッキングに成功し、2012年6月18日には有人宇宙船「神舟9号」とのドッキングにも成功した。このミッションでは3名の宇宙飛行士が神舟9号から天宮1号に乗り移り、6月29日まで滞在した。翌2013年にも「神舟10号」で再び3名の宇宙飛行士が天宮1号とのドッキングに成功し、15日間の滞在を行った。
神舟10号ミッションの後は天宮1号は無人の状態で軌道を周回していたが、2016年3月に中国政府から国際連合宇宙局(United Nations Office for Outer Space Affairs; UNOOSA)に対して、天宮1号が機能を停止したとの報告が行われた。これ以降、天宮1号は制御不能のまま、大気の影響を受けて次第に軌道周回高度が下がる状況が続いていた。
今年3月には、ヨーロッパ宇宙機関・欧州宇宙運用センター(European Space Operations Centre; ESOC)など、宇宙デブリの監視・追跡を行っている各国機関の予測で、3月末から4月初めに北緯43度から南緯43度の間で大気圏に再突入する可能性が高いとみられていた。
〈参照〉
- 中国戴人航天工程弁公室:Tiangong-1 reenters the atmosphere
- 米空軍第18宇宙管制中隊(18SPCS) Twitter (@18SPCS)
- The Aerospace Corporation:Tiangong-1 Reentry
〈関連リンク〉
- 中国戴人航天工程弁公室
- FHR
- ESOC
- アストロアーツ 投稿画像ギャラリー:天宮1号
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