- 岩波書店
- 126ページ
- 定価 1595円
「ジュニアスタートブック」とのシリーズ名があるように、出版社さんは児童向けを狙っているようだが、惑星科学を専門とする京都大学の先生の著書であることから、本書の内容は大変高い。決して侮らないように。本コーナー別掲の本のように、近年、宇宙生物学書は多数出版されているが、本書もその一冊で直接的には書かれていないことまで深く考えさせてくれる。
たとえば天国や極楽地獄なんてものは、もう完璧に消失した。そこからは何の信号も発せられておらず、したがって光学・電波あるいはγ線望遠鏡問わず見えないのだから。おそらくETは見えてきても、天国などは絶対に見えない空想のものに間違いない。
系外惑星の探求がとんだところに波及しそうだが、ともかく地球外生物学は今や面白いの一言に尽きる。それとともに、地質学や岩石鉱物学、有機化学、地理地形学、そして生物学自体が、深く研究が進むことになるはずだ。ケプラー宇宙望遠鏡による多種多彩な系外惑星の発見を1ステップにして、今後夢のような多数の発見がなされ、本書を読んだ若年の研究者によって、素晴らしい未来が拓かれんことを、年寄り評者は夢見ています。本書91ページに書かれたハビタブルプラネットのケプラー186f(ニックネーム:第二の地球)やスーパーアースのケプラー1452b(地球の従兄弟)、トラピスト1(地球の7姉妹)などのニューフェースの話もワクワクします。近い将来が楽しみですね、若い皆さん!