- 角川学芸出版 刊
- 18.6 x 13 cm、220ページ
- 2013年11月
- ISBN 978-4046532886
大変ロマンチックな書名だが、決して文学作品ではない。副題にあるとおり、地球の生命は宇宙からやってきたという「パンスペルミア」(と入力したら、一時パソコンに日本語としておかしいとはねられた)説を説明した本である。本書は昨年出版されたが、先回「こだわり天文書評」でご案内した松井先生の本「天体衝突」の直前に出版された関連本であり、しかも重要な科学書なので、あえてご紹介することにした。
題の如しで、スリランカとインドにここ十数年の間に降った赤い雨(そればかりか青・緑・黄・黒い雨も)の正体を暴こうとしたもの。自ら修行して悟りを開こうとする上座部仏教(よりポピュラーな言い方では小乗仏教)にシンパシーを感じておられる(と本書で言われる)松井先生のこと、その正体をほぼ解明したと筆者は見ている。詳細はぜひ本書で。
それに関連して本書第4章以下では、パンスペルミア説を論じている。筆者が若かったとき一時期彗星のごとく出現し、ほとんどはかなく消えていった学説だ。ウィックラマシンゲ氏と著者の対談も、これまた実に面白いですよ。氏は、異端児とも問題児とも後ろ指をさされたにも関わらず敢然と戦い続けたビッグバンの命名者、定常宇宙論の発起人、そしてインフルエンザ・ウィルス彗星ばらまき説の提案者として知られる異色の学者フレッド・ホイルの共同研究者である。
趣味のテニスの試合中につくば隕石落下を目撃なんて、出来すぎのエピソードもある。本書を読んで、次はぜひとも火星に津波石を発見していただきたいと思う次第だ。