- 中央公論新社
- 17.4×11cm、286ページ
- ISBN 978-4121506627
- 価格 842円
このところ本書評でも令和、令和。先日期日前投票に行ったときも、投票用紙の月日記入欄に「令和元年(2019年)」とあった。実は、この括弧書きにこそ(歴史的な)意味がある。明らかに天皇制に関係があることを、本書は解き明かしてくれている。よって、皆さんは本書を第6章から読み始めていただきたい。勿論、第5章のトップシークレットでタブーとするなかれの“考案者”なども面白いが、第6章は著者日本テレビ政治部の皆さんの思い入れが最大に表現された箇所で、将来の日本国民が、天皇が代替わりする際に果たして元号(年号)をどうするかを考える際に、真面目に直視する材料にすべきと評者は考えるのだ。
だって、あれだけ万葉集からのもので、発案者はこの人だろうと大騒ぎされたのに、出典が1〜2世紀(そもそもこの数え方自体が元号以前の西暦でしょう?)中国の科学者張衡の『帰田賦』だったらしい事が明らかになったのだから。前回本書評参照のこと。
平成の謎も面白いし、令和制定を追ったプロセスも読み応えがある。できれば、日本テレビさんでドラマ化なさるのはどうでしょう。本書を本書評で取り上げるのは、本書209頁に令和命名者と目される学者が記者に語った「元号は人間ではなく、天が付けるもの」と語った台詞にある。「天」って何だ。「宇宙」の事ではないのかと評者は考えるのです。進化論を教えるなと主張するある国の教育者ならいざ知らず、今どき何を言っているのだ。