- 朝倉書店
- 160ページ
- 978-4254155235
- 定価 2530円
京都大学はとても革新的な大学だと評者は思う。天文学を研究する学科なのに、他大学とは異なり、宇宙科学科と命名したように。評者の学生時代の親友も、大学院は京都大学の宇宙物理学科に進学した。それがまた、1〜2年生で習う宇宙総合学になったなんて、本当に京都大学はスゴイですね。
本シリーズは、1〜4巻までそれが遺憾なく発揮され、有人宇宙飛行から太陽活動、その長期変動と地球の気候変動、宇宙太陽光発電、宇宙医学、宇宙倫理、宇宙論の歴史、高層気象学、天体望遠鏡、宗教論、宇宙人文学、宇宙人、宇宙生物学、太陽系探査、宇宙探査、宇宙災害、宇宙の進化、系外惑星などなど(順不同)、メチャクチャ広範囲でスゴイですよ。これが古都京都の国立大学とはとても信じられない。
いずれにしても、本書評では読者の皆さんにとって一番手強そうでない第3巻をご紹介することにした。最近評者が、人がなぜ宇宙に飛び出そうとしているのか、その動機に関心を持っているせいもある。書評277『宇宙から帰ってきた日本人』での12人の宇宙飛行士の語りを参考にしてください。本巻111頁にあるγ線バースト被曝の危険や、125ページ以降に記された有人宇宙飛行に伴う各種デメリットなどは、非常に考えさせられる問題で、スマホを使っている皆さんが多分一度も考えたことがないだろう通信機器災害も、今や切実な事件になるかもしれないからだ。今だからこそ、本書を御熟読いただきたい。