- 筑摩書房
- 17.4×10.8cm、235ページ
- ISBN 978-4480069078
- 価格 864円
一緒にご紹介した『系外惑星の事典』と一緒にお読みいただきたい本。勿論本書は生命史に特化したもので、天文学の本流とは今のところ別のものだ。しかしながら、近いうちには必ず相関するものとなるはずだと評者は予測している。
例えば本書211頁に記されているように、原核細胞は現在1030を超えるほど存在すると推定されている。対して人類はたった60×108人。おまけに前者は寿命が無限大。一旦生まれてしまえば、あとは地球上では細胞分裂で生き続けるからだ。こういった思考こそが、系外惑星上にいるだろう宇宙生命を考える際に、絶対に必要だということが本書を読むとよく認識できるのだ。評者も恥ずかしながら、本書からそのことを学んだ。
著者は、宇宙から地球生命を見ることが、生物学の地動説を目指すこととおっしゃっている。まことに名言であることが本書を読めば至極当然に理解できる。今まで当たり前だと思っていたこと(天動説)がちょっと見方を変えることによって(地動説)、至極不自然に思えるようになることが、実は科学の発展なのである。つまり、「それって変じゃない?」という疑問こそが貴重なのだ。言わば再審で無罪になるようなもの。ドグマで凝り固まった頭をぶちこわす必要が、いつの時代にも必要なのだ。
本書を読んで、筆者の一番の読後感はそれである。各章扉にある一言も有り難いですよ。