- 汐文社 刊
- 19.5×13.5cm、179ページ
- ISBN 978-481132243
- 価格 2,484円
本書は今回同時に書かせていただいた「理系社員のトリセツ」の副読本である(評者独断)。なぜなら、理系人はこういう見方をするからだ。裏表紙にあるイラスト(著者作画)の、何とも奇妙な出で立ちをした尻尾を日傘として巨大なトサカを持つ宇宙ラクダがその具体例。おかげでその奇妙と言うか、頁をめくるのがオソロシク、ついに書評を書き始めるまで相当の時間を要した。だが、内容は極めてオモシロイ。改めて筆者が理系人であることを認識した次第。なにしろ、このような宇宙生物でないと、灼熱または極寒、大気組成も極端な地球外では、生存が不可能な科学的理由がよく判るからだ。
著者は大学で農獣医学を学び、サイエンスライター・イラストレーターになった新進気鋭の人である。2009年には科学ジャーナリスト大賞を受賞されている。本書は図鑑ではないが、稀な準図鑑。いわゆる金星人や火星人の図鑑ではなく、例えば赤色矮星グリーゼ667Cの周囲を公転する惑星fにいる(かもしれない)宇宙シロクマや宇宙アザラシは、こういう姿をしているはず、という想像図は、誠に説得力がある(もちろん科学的に)。
単に天文学ではない宇宙科学が、とうとうここまで進化したかと実感させてくれる有り難い一冊が本書。文系社員は、本書で理系社員の本性を読み取っていただきたい。そうすれば、近寄りがたいと思われていた理系社員にも、心豊かに接するきっかけが得られるはずだ。