この夏休みに見知らぬ土地へ旅に出かけるという人がいるだろう(あるいは、皆既日食の観測で初めて海外へ渡航するという人も!)。そんなとき、必要なのが地図と案内書だ。自分がどこにいて、どこに何があるか知ることで、自分がどう行動するか考えることができる。宇宙についても、どこに何があるかわかる地図や案内書があったらきっと便利だ。『宇宙の大地図帳』はまさに、宇宙空間を地図でめぐろうというビジュアルブック。第1部は「空間と宇宙 地球から宇宙の果てへの旅」と題し、距離を基準に天体を紹介していく。地球にいちばん近い月から、太陽系の惑星、銀河系内の恒星や星雲星団、さらに銀河系外の銀河たち。まるでロケットに乗って宇宙の果てまで観光地めぐりに行くように、美しい画像で見どころを案内してくれる。第2部は「時間と宇宙 誕生から100兆年後の未来」として、時間旅行をするように宇宙の創世期から終焉までをたどる。折り込みの「宇宙の大地図」A3ポスターで、宇宙の見どころの場所(距離と方角)が確認できる。
次は視点を変えて、地上から星空を見上げたとき、どこに何があるか案内する『星空の見方がわかる本』。四季の星座や星にまつわる神話など、スターウオッチングの基礎知識を教えてくれる。望遠鏡を持っていない初心者でも、この本を頼りに自分の目で星や星座を探そう。もちろん、双眼鏡や望遠鏡で楽しめる星雲や星団なども紹介しているから、星座探しに慣れたら道具を使った観測にもチャレンジしたい。巻末に、全国の公開天文台とプラネタリウムの案内が載っているので、専門家のところに出かけてさらに詳しく教わるのもいい。
ここからは、天文や宇宙にまつわる豆知識など知っておくと楽しい話題の書かれた読み物を3冊紹介する。『14歳からの天文学』は天体観測・宇宙開発・銀河・宇宙論など、著者の体験を交えながら天文について語った入門書。タイトルのように14歳を意識して書かれたもので、登場するエピソードも著者が同年齢のころ感じたことをベースにしている。時代が変わっても天文学の魅力は変わることなく、きっといまの14歳も天文に興味と興奮を感じてくれるだろう。終章には、番外編として「天文や宇宙が学べる進路とお仕事」を掲載。将来、天文や科学に関わる場で活躍する人が増えるとうれしいかぎり。
『面白くて眠れなくなる天文学』は、累計50万部を超える人気の「面白くて眠れなくなる」シリーズの天文書。「勇者オリオンの右肩がなくなる日」「見られると縁起がいい星」など、一般の人が思わず身を乗り出しそうなタイトルから、「ダークエネルギーの謎」「ブラックホールに重さがある!?」などちょっと専門的な話題まで、読みやすく紹介している。語りかけるような優しい文章は、著者がサイエンスカフェなどで市民と直接語り合うことを大切にしているからだろう。
同じように、市民に天文を語るプラネタリウム解説員が監修したのが『世界でいちばん素敵な宇宙の教室』。子供から大人まで誰もが思う素直な疑問に、Q&Aでわかりやすく答えている。以前当コーナーでも紹介した『世界でいちばん素敵な夜空の教室』の第2弾で、日本星景写真協会とNASAによる天体写真が美しいビジュアルブック。
最後は、「自分の周りを宇宙図鑑にして楽しもう」というリビング学習グッズ『おうちが宇宙図鑑』。貼ってはがせる大きなウォールステッカーに、土星や木星などの天体や宇宙イラストが描かれている。好きな場所に貼ることでいつでも宇宙への関心を高めることができ、家族のコミュニケーションツールにもなる。宇宙船の窓をデザインしたステッカーを部屋に貼れば、子供だけでなく大人もきっと宇宙飛行士気分になれる。ステッカーの使い方や、惑星の基本情報を載せた「ものしりミニ図鑑」付きで、対象は幼児〜小学校低学年。
(紹介:原智子)