NASA、MPLの失敗予期を隠蔽していたことを否定
【2000年3月23日 2000/3/22】
3月21日、UPI通信社は「NASAはマーズ・ポーラー・ランダーの失敗を予期していた」という記事を公表したが、NASAはこれを否定した。NASAは、この記事には著しい不備があるばかりではなく、NASAに対しコメントの機会を与えられることなく公表されてしまっており、このことはアンフェアであるばかりではなく、プロ精神に反するものであり、UPIはこの記事を撤回するべきであるとUPIを非難した。
NASAによると、事実は次の通り。
- 「マーズ・クライメート・オービター失敗調査 第一段階報告書」は1999年11月10日、NASA本部におけるプレス・カンファレンスにおいて公開されている。
- この報告は11の技術的問題点や懸念に言及しているが、それにはマーズ・ポーラー・ランダー(MPL)の推進システムに関するものや、大気圏突入・降下・着陸の手順に関するものも含まれていた。
- これらのMPLに関する問題報告はそのプレス・カンファレンスにおいてはっきりと説明されており、そのひとつは報告書の32ページ「MPL所見その5:着陸制動エンジンの冷点火」という項目に記載されている。この項目は、UPIの報道にもある「触媒ベッド」に関する問題点を詳細に記述している。
- この報告はNASAのホームページ上でも公開されており、UPIはこの報告を調査して「触媒ベッド」に関する懸念がすでに公開されている事実を知ることが可能であったし、そうするべきであった。
- この報告書により、NASAは着陸制動エンジンに関する懸念を知っていたし、また全てを公開していた。
- 最近の2〜3週間の間に、数通りの失敗シナリオが報道陣に公開された。それには着陸脚の接地感知スイッチに関する言及も含まれており、Denver Post、Space Daily、アメリカ公共ラジオ放送等により報道された。したがって、UPIの記事には何らの新事実も含まれていない。
- スティーブンソンの調査チーム、カサニ(John Casani)の調査チーム共にMPLに関する非常に突っ込んだ調査を行ったが、UPIの記事にあるような制動エンジンの適合試験における不正は見つかっていない。調査チームはUPIの記事に対して「怠慢」「全くナンセンス」「ばかげている」といった反応を見せている。
なお、マーズ・ポーラー・ランダー失敗の完全な報告書は来週には公開される予定である。それにはあらゆる事実が含まれる。
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