宇都宮・ジョーンズ彗星の急減光
【2001年2月27日 アストロアーツ】
月惑星研究所のC. W. Hergenrotherの報告によると、宇都宮・ジョーンズ彗星 (C/2000 W1) は急速に減光中。口径1.5m望遠鏡を使った2月12日のCCD観測では、彗星の全光度は約16.5等で、視直径1.7分角のコマが見られたが、核の集光部は認められなかった (IAUC7586)。
埼玉県上尾市の門田健一氏のCCD観測(口径18cm反射)では、1月18日に12.7等、23日に13.6等、 29日に14.2等であった。門田氏によると、2月5日以降、彗星は確認できなかったとのこと。
2001年1月18日 淡いが、集光した彗星らしい姿が確認できる |
2001年1月29日 円内のかすかなぼんやりした像が彗星 集光も見られない |
小ぶりな彗星は、太陽の近くを通過した際に拡散・消滅してしまうことが少なくない。このような彗星としては、1996年11月に太陽に接近後消滅したタイバー彗星 (C/1996 Q1)、1997年7月に太陽に接近後消滅したタイバー彗星 (C/1997 N1) などが知られる。
宇都宮・ジョーンズ彗星も小ぶりな彗星であり、消滅が心配されていたが、太陽の近くを通過する姿が太陽観測探査機「SOHO」の観測画像上で観測され、その後2001年1月12日の早朝には明け方の低空で拡散した姿が無事確認された。だが、ここにきてついに力尽きてしまったようだ。
補足: もっとも、近日点通過前に明るく見えた彗星でも、太陽に接近した際に消滅してしまうことがある。2000年7月末に太陽に接近したリニア彗星 (C/1999 S4) は、肉眼彗星とはならなかったものの、双眼鏡で充分に見えるほどの明るさになり、消滅はしないと思われていた。だが、近日点通過に前後して核が崩壊、その後急速に減光して見えなくなってしまった。
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