宇都宮さんも、新彗星を発見

【2002年3月22日 国立天文台天文ニュース(536)

熊本県小国町の宇都宮章吾(うつのみやしょうご)さんは、口径15センチ双眼鏡による眼視観測で、3月19日、明け方の東の低空「ペガスス座」の頭にあたる位置に10等の彗星状天体があることに気付きました。翌19日にはこの天体が移動しており彗星であることを確認しました。この発見は洲本市の中野主一(なかのしゅいち)氏を通じて国際天文学連合に報告され、新彗星であることが確認されました。
この新彗星の認識符号は C/2000 F1、通称は宇都宮彗星です。
宇都宮さんは2000年11月18日にも彗星を発見しています(天文ニュース395)。

この彗星は発見後南下してしまい観測し難い位置にありますが、月末にはまたやや見やすくなりそうです。太陽からの距離、地球からの距離も近いので、その頃には、小口径の望遠鏡や双眼鏡でも見える明るさです。国際天文学連合回報による暫定的な放物線軌道と、それによる予報位置はつぎのとおりです。

宇都宮彗星(C/2002 F1)の暫定軌道要素
近日点通過2002年4月23.460 TT
近日点距離0.45854AU
近日点引数124.093度(J2000.0)
昇交点黄経288.167度(J2000.0)
軌道傾斜角78.800度(J2000.0)
位置推算表
日付 赤経(2000.0)赤緯 地心
距離
日心
距離
太陽
離角
明るさ
2002 AUAU
Mar. 17 2137.90+0355.9 1.6590.97932.5 9.5
19 2145.17+0531.8 1.6140.94332.6 9.3
21 2152.92+0712.8 1.5700.90732.6 9.1
23 2201.21+0859.0 1.5260.87132.6 8.8
25 2210.11+1050.3 1.4840.83532.4 8.6
27 2219.71+1246.6 1.4440.80032.1 8.3
29 2230.10+1447.6 1.4060.76431.7 8.1
31 2241.40+1652.6 1.3690.72931.1 7.8
Apr. 2 2253.72+1900.7 1.3360.69530.5 7.5
4 2307.19+2110.2 1.3050.66129.7 7.3
6 2321.94+2319.4 1.2780.62928.9 7.0

今後は近日点に向って進み、だんだんと北上しながら、明け方の低い空で、明るくなっていくようです。