名前に似合わず美しいタランチュラ星雲
【2002年6月11日 ESO Press Photos】
南天の大マゼラン雲にある散光星雲 NGC2070は、その形から「タランチュラ星雲(毒ぐも星雲)」と呼ばれている。しかし、その名前から想像される姿とは違い、実際のタランチュラ星雲は非常に色鮮やかで美しい星雲だ。
今回公開された写真は、南米チリにあるESO(ヨーロッパ南天天文台)のラ・シラ観測所に設置された口径2.2m望遠鏡を使って2000年9月に撮影されたものだ。赤、緑、青の3色のフィルターを使って撮影された15枚の像を合成しており、写真の一辺は34分角と広い。
タランチュラ星雲までの距離(すなわち、大マゼラン雲までの距離)は17万光年で、星雲の大きさは1,000光年以上にもおよぶ。星雲の中央にある、若くて高温の星々から放射されている強い紫外線を受け、星雲中の水素原子や酸素イオンのガスが励起され、このような美しい色を生み出しているのである。
この写真中には、大マゼラン雲に含まれるいくつかの球状星団や散開星団なども写っている(例えば、左端の真中やや下よりにある球状星団など)。リリース元のページには個々の天体のクローズアップ写真もあり、さまざまな天体の写真が鑑賞できる。