VLTが捉えた、地上から見た天王星の環と衛星
【2002年12月27日 ESO Press Photos】
この写真に写っている惑星は何だろう?一見するとアマチュアが撮影した土星の写真のように見えるが、実はこれは南米チリにあるESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(The Very Large Telescope)で撮影した天王星の写真だ。
天王星の環の存在は、1977年に地上から天王星による恒星食を観測していた際に明らかになった。天王星本体が隠される恒星の前を通過する前後にその星が暗くなったのが観測されたので、環があるのがわかったのだ。その後、1986年に探査機ボイジャー2号が天王星に接近して撮影した環の写真から、天王星の環はひじょうに細いものが何重にも集まった構造をしていることもわかった。これらの環は、地上から可視光で見ることはほとんど不可能である。
この写真は近赤外線で撮影されたものだが、その波長では天王星の大気に含まれるメタンガスが太陽の光をほとんど吸収してしまうので、天王星本体は薄暗く写っている。一方、環には氷が含まれていて太陽の光を反射しているので明るく写っている。また、天王星には21個の衛星があるとされているが、そのうちの7個も写っている。