板垣さん、超新星を発見
【2003年5月6日 国立天文台・天文ニュース(635)/VSOLJニュース(104)】
(NAOニュース)
3月23日付けの国立天文台・天文ニュース(625)で報じたばかりですが、山形県山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんがまたまた、超新星を発見しました。
板垣さんは5月4日(日本時)未明に15.2等の超新星をりょうけん座の渦巻銀河NGC 5303Aに発見しました。これは口径60センチの反射望遠鏡とCCDによる発見です。
この発見は洲本市の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合へ報告され、2003edという名前が付けられました。
板垣さんが測定した超新星の位置は、
赤経 13h 47m 45.36s 赤緯 +38゜18' 20.3" (2000.0) NGC5303周辺の星図(22KB)
で、八ヶ岳南麓天文台の串田嘉男(くしだよしお)さんの銀河の位置の測定と比較して、銀河の中心から東に3.3秒角、北に4.1秒角にあたります。
マサチューセッツ州のハーバード・スミソニアン宇宙物理学センターによるとアリゾナ州にあるホイップル天文台の1.5メートル望遠鏡での分光観測から、爆発して間もないタイプIIの超新星であることがわかりました。
板垣さんは彗星や超新星をいくつも発見しているベテランの天体捜索家で、ことしに入っても既にろくぶんぎ座の渦巻銀河NGC3169にSN2003cgを発見しています(天文ニュース(625))。他にも超新星を2つ(同(441)、(500))、新星状天体をひとつ(同(587))、また命名には至りませんでしたが彗星をひとつ発見しています。
(VSOLJニュース)
山形県の板垣公一(いたがきこういち)さんは、今年3月にも超新星2003cgを発見されていますが、このゴールデンウィーク中の5月3日に、新たに超新星2003edをりょうけん座の銀河NGC 5303に発見されました。板垣さんの超新星発見は4個目です。
超新星2003edは、60cm反射望遠鏡で5月3.496日(世界時)に撮影されたCCD画像上で、15.2等で発見されました。同日に山梨県の串田麗樹(くしだれいき)さん、埼玉県の門田健一(かどたけんいち)さんによって天体の存在が確認されました。天体の位置(板垣さんの画像による)は、
赤経13時47分45.36秒、赤緯+38度18分20.3秒 (2000年分点)
で、母銀河であるNGC 5303の中心核から、東に4秒角、北に4秒角ほどのところにあたります。
NGC 5303は活動的な青い銀河で、大質量の星がたくさん作られていると思われます。この銀河の南2.8分のところにはNGC 5303Bという別の銀河があります。また、NGC 5303に重なって、中心角から北に3秒角、西に8秒角のところには、手前の星と思われる15等ほどの天体がありますので、これを超新星と間違えないよう注意が必要です。
米ハーバード大のグループがこの天体の分光観測を5.32日に行ない、この超新星が爆発後間もないII型であることがわかりました。大質量星が生涯を終えるときの爆発だったことになります。今後しばらくは発見時の15等ほどの明るさを保つものと予想されますので、CCDなどでこの銀河を撮影すると、比較的容易に超新星をとらえることができるでしょう。