再び発表された宇宙の色:「初期の宇宙は青かった」
【2003年12月24日 ESO Press Releases】
ESO(ヨーロッパ南天天文台)の電波望遠鏡VLAとハッブル宇宙望遠鏡による銀河の観測データから求められた、宇宙の色が発表された。発表によると、現在は一種のベージュ色であり、宇宙誕生から25億年のころは青色に近かったらしい。
今回の色に関する結果は、いわゆるハッブル・ディープ・フィールド南天領域にある、赤方偏移z=3.2(距離にしておよそ115億光年)の300もの銀河に関するデータの分析結果からもたらされた。初期宇宙の青い色は、そのころの宇宙に存在する銀河の中にある若い星々から発せられているものだ。一方、現在の赤い色は、宇宙の大多数を占める年老いた赤い星々からのものである。
また、現在は過去ほど青い星(質量が大きく短命な星)が作られていないことや、星形成の初期から存在していた赤い星(小質量で寿命の長い星)は現在も残っているということもわかった。以前ほど新しい星が作られなくなった点や長寿命の星が残っている点は、まるで地球の先進国で近年出生率が低下し、高齢化が進んでいるのと同じような現象である。
専門家たちは、宇宙が30億歳のときどれくらいの星が形成されていたかを求め、現在の10分の1程度の星の数しかなかったと報告している、また、現在観測される星の約半分が、宇宙誕生から70億年以降(すなわち、宇宙年齢の約半分程度以降)に形成されていることもわかった。
今回観測されたのは、ハッブル・ディープ・フィールドという限られた範囲であったため、これが宇宙すべてにあてはまるとは決して言えない。しかし今回のデータは、後に続く研究の良い足がかりとなったことは間違いなさそうだ。