すばるが遠方大型銀河団RX J0152.7-1357の画像を公開
【2003年12月24日 国立天文台・天文ニュース(691)】
銀河は宇宙のなかでしばしば群がって存在しており、その群は銀河団とよばれています。すばる望遠鏡を用いて撮影された銀河団RX J0152.7-1357の画像が公開されました。
この銀河団は、くじら座の方角、約70億光年彼方にある大型銀河団です。つまり、宇宙年齢が現在の約半分であった、約70億年前の銀河団の姿をとらえていることになります。公開された画像は、すばる望遠鏡の主焦点カメラ(Suprime-Cam)を用いて2003年9月に撮像されたものです。
この銀河団では、銀河が鎖状に連なっています。これは、銀河がこのような鎖状構造に沿って重力で引き合って集まり、合体し、より大きな銀河・銀河団へと進化していく過程を見ているものと考えられます。公開された画像はその中心部を写し出していますが、そこでは、一辺が450万光年(我々の銀河系から隣のアンドロメダ銀河までの距離の約2倍に相当)の範囲に数百の銀河がひしめいています。
さらに、銀河団の中心部には、青く細長く延びた銀河も多数みられます。これらは、この銀河団よりもさらに遠方の背景銀河から来る光が、銀河団による重力レンズ効果によって曲げられ、歪んで見えているものです。
今後、この画像の解析から、巨大銀河団の形成過程とそのなかでの銀河の進化、銀河団内の暗黒物質の分布などが解明されるものと期待されています。