スピッツァーによって捉えられた荒れ狂う星たちのゆりかご

【2004年1月27日 Spitzer Press Releases

NASAの赤外線宇宙望遠鏡スピッツァーが、南天の大マゼラン雲にある散光星雲・タランチュラ星雲(NGC 2070)の赤ちゃん星たちを取り囲んでいる輝くちりのようすを捉えた。これによって、活動的な星形成領域の内側で何が起きているか詳細に見ることができる。

(タランチュラ星雲NGC 2070の画像)

タランチュラ星雲NGC 2070(提供:NASA/JPL-Caltech、謝辞:B. Brandl (Cornell & University of Leiden))

この輝くガスとちりからできた雲は、われわれの銀河系や大マゼラン雲などの銀河を含む局部銀河群にの中で、もっとも活発に星の形成が進んでいる領域である。タランチュラ星雲はわれわれの銀河系以外の場所で肉眼で見ることのできる唯一の星雲で、質量が太陽の100倍を越えるような大きな星々も存在している。

これまで、他の望遠鏡による観測でも、蜘蛛の足のようなフィラメント構造(タランチュラ星雲という名の由来)や無数の星がちりばめられた部分が明らかになっていた。しかしスピッツァーは、若い星々を取り囲むちりのポケットを完璧に見通し、この巨大な星のゆりかごや内部に隠されていた星などを初めて観測したのだ。さらに、中心部の星からの強烈な放射によってちりが吹き飛ばされてできた、星の周りに広がる空洞のような穴まで詳細に捉えられている。

今後この領域の研究がすすめば、太陽のような星も含む一般的な星の形成についての理解が進むそうだ。