スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡、惑星形成領域に生命をつくる物質成分を発見
【2004年6月8日 Spitzer Press Releases】
スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡の観測によって、惑星系の形成が進む領域(原始惑星系円盤周辺)に凍った有機物質が大量に分布しているようすが明らかになった。
観測対象となったのは、われわれから420光年離れたおうし座にある、ひじょうに若い5つの恒星である。惑星形成の途上にある円盤のちりの中に有機物質が発見されたのは初めてのことだ。水で覆われ凍ったちりは、メタノールと二酸化炭素を含んでいる。これらの物質の存在が、彗星のような天体の起源を解明してくれるかもしれない。地球には、こういった彗星によって水など生命に必要な物質がもたらされたと考えられている。
また、別の結果として、これまででもっとも若い惑星を持つ星「CoKu Tau 4」の存在も示されている。この星の年齢はたった百万歳で、惑星はさらにもっと若いと考えられ、地球の45億歳と比較すればその若さは歴然としている。
スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡の発見は、これだけにとどまらない。これまででもっとも遠くかすかな原始惑星系円盤の観測にも初めて成功している。円盤が発見された領域は、地球から13,700光年離れたケンタウルス座にある星形成領域RCW 49だ。ここには生まれたばかりの星が300ほどあるのだが、このうち2つの星の周りに円盤が発見されたのである。
スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡の目はひじょうに高感度で、星や惑星、それらを取り巻く原始惑星系円盤の姿を驚くほど詳細にわれわれに見せてくれる。スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡による円盤の観測は今後も続き、やがて大量の分析データが得られるだろう。