ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた光を放つ星々のタペストリー
【2004年7月7日 ESA Focus On】
NASAのハッブル宇宙望遠鏡が捉えた、光を放つタペストリーのような美しい画像が公開された。次々に起こる星形成を捉えた完璧な画像と呼ぶにふさわしく、年老いた星によって新たな星の誕生が引き起こされていくようすが詳細に捉えられている。
かじき座にある大マゼラン雲は私たちの銀河系の伴銀河の一つで、銀河系から16万光年離れている。そこには星形成が進むたくさんの領域があるが、今回観測された「N11B」は、大マゼラン雲の中では2番目に大きな星形成領域だ。
この画像の外側にある星団によって、画像中左側にある青い星や白い星の誕生が引き起こされている。これらの星は、われわれの知る星としてはもっとも質量の大きいものだ。また、高温の星の周辺では星からの恒星風や放射によってガスが吹き飛ばされている。ガス同士が衝突し、周辺の雲は圧縮されて自らの重力でつぶされることで、新しい星が作られていくのである。
さらに、画像中右側には、小さな雲のようなグロビュールと呼ばれる構造(暗黒星雲)がいくつか見られ、輝いている星間ガスによってシルエットとなって不思議な姿を見せている。グロビュールの縁が輝いているものもあるが、これは、近くにある高温星の放射によって蒸発しながら輝きを放っているためだ。これらのグロビュールでは、星がまさに生み出されているところである。