国立天文台のALMA(アルマ)計画の近況
【2004年7月30日 国立天文台 アストロ・トピックス(34)】
皆様のご支援のお陰をもちまして、平成16年を日本にとってのALMA建設元年とすることができました。ありがとうございました。平成16年度はまた国立天文台にとっても大きな節目の年となりました。4月1日をもって国立天文台は、4研究所が連合した大学共同利用機関法人自然科学研究機構に所属することとなりました。法人化後は、従来のALMA計画準備室は、建設予算の承認に伴って名称も「ALMA推進室」となりました。法人化に伴う若干の混乱はありますが、計画の推進自体は粛々と進められています。
日本の建設予算獲得に伴い、欧米やチリと日本がALMAに正式に参加するため枠組みの協議が進み、まもなく米欧との協定書が締結される予定です。また、東アジア諸国との協力体制の確立のために、台湾や中国の関連研究機関との協議が進められ、具体的な人的交流も始まっています。
技術開発に関しては、平成14年度から2年計画で進めてきた「大型ミリ波サブミリ波干渉計に関する研究開発」が順調に進み、アメリカ国立電波天文台のVLA観測所構内に設置し評価してきた日本のプロトタイプアンテナが所期の性能を満足することが確認されました。受信機開発に関しても、ミリ波とサブミリ波の2種類の受信機の開発・評価が平行して急ピッチで進められており、特にミリ波の受信機に関しては、すでにALMAで要求されているきわめて高い性能を達成しています。また、相関器に関しては基本設計を終え、製造に向けた調達手続きが始まっています。
現地のインフラ整備としては、すでに工事用道路と山麓施設の建設の一部が進められており、今年度中にはサンチャゴ事務所が開設され、いよいよ日本人スタッフ先発隊の現地滞在も始まる予定です。
研究面でも、平成19年度から開始される見込みの初期観測運用に向けて、研究計画の立案が各分野で具体的に進められており、各地で研究会等が開催されています。
今後とも引き続きご支援をよろしくお願いいたします。