土星探査機カッシーニが捉えた、黒い物質に覆われる衛星イアペタスと優雅な天然色のリング

【2004年8月2日 JPL News Release(1) / JPL News Release(2)】

黒い影のような暗い部分を持つ衛星イアペタス

(イアペタスの画像)

イアペタス(提供:NASA/JPL/Space Science Institute)

土星探査機カッシーニが7月3日に捉えた土星の衛星イアペタスの画像が公開された。画像に見られるように半球は暗く、まるで影のように見えるのだが、これは影ではない。この半球部分は黒い物質に覆われているのである。しかし、この黒い物質が何であるのかは全くわかっておらず、内部の構造に由来するものなのかどうかも明らかではない。衛星フェーベから吹き出した暗い粒子がイアペタスの表面を覆っているのではないかという説もある。

イアペタスは、1672年に天文学者カッシーニによって発見された衛星だ。直径は1436kmで、地球の月のおよそ3分の1である。密度が低く、傾いた公転軌道を持つという特徴もある。探査機カッシーニの4年間の活動の間でイアペタスへの接近は2回予定されており、最短では1000kmまで近づくことになっている。

優雅な天然色のリング

(天然色のリングの画像)

天然色のリング(提供:NASA/JPL/Space Science Institute)

一方こちらは、探査機カッシーニが土星周回軌道に入る9日前に土星から640万キロメートルのところで捉えた土星のリングだ。画像中のピンクや白、灰色は、すべて特別に色付けしていない天然のものである。右上から左下へ伸びるまぶしい白いリングはB環である。

土星のリングは主に水氷でできており、白い色はその純粋な水氷が存在していることを示している。その他の色の部分には、炭素化合物や岩石などが含まれていると考えられている。今後、探査機カッシーニのデータから、リングの組成の謎が明らかにされていくだろう。