スピッツァーが捉えた、太陽系外の小惑星帯の証拠

【2005年4月26日 NASA : Spitzer Space Telescope Newsroom

NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡が、太陽以外の恒星の周りに、小惑星帯と思われるちりが厚く分布している領域を発見した。この発見により、数少ない太陽系に似た恒星系の様子をかいま見ることができるとともに、地球のような惑星が他の恒星でもできるかという疑問への答えに大きく近づけるかもしれない。

(HD69830系の黄道光) (太陽系の黄道光)

小惑星帯など黄道方向のちりに散乱されて見える光(黄道光)のイメージ。交差して見えているのは天の川。
(上)HD69830系から見た黄道光の想像図、(下)太陽系の黄道光のイメージ。(提供:NASA/JPL-Caltech/R. Hurt(SSC))

小惑星帯の候補が発見されたのは、HD69830とよばれる恒星で、その距離は、われわれから41光年と近い。また、恒星の質量もわれわれの太陽とほぼ同程度である。いままで発見されている2つの小惑星帯は、いずれも距離がずっと遠いうえ、中心の恒星は太陽と比べると若く、質量も大きい星であったため、今回の発見は興味深い。

ただし、発見されたのは小惑星帯そのものではなく、分厚く、暖まったちりの円盤である。このちりが、ひんぱんに衝突をくりかえす小惑星帯によって放出されていると考えるのがもっともらしいというわけだ。一方、冥王星サイズの彗星が太陽に大きく近づき、ゆっくり蒸発しながら放出したダストトレイルである可能性もある。それでも、発見したグループはいずれこの「巨大彗星説」は否定されるだろうと考えている。将来のさらなる観測により決着がつくだろう。

太陽系では、小惑星帯は火星と木星の軌道の間に位置している。一方、発見された小惑星帯の恒星からの距離は金星の軌道のあたりに相当する。また、含まれるちりの質量は太陽系の小惑星帯の25倍以上にもなる。これだけのちりが太陽系の小惑星帯に存在すれば、地球から見たときには夜空を照らす明るい帯になるはずだという。

現在の技術では直接地球のような惑星を観測することはできないが、地球型の岩石惑星を形成する物質の残留物である小惑星帯は、その形成の歴史を物語る化石のようなものであることから、新たな情報がもたらされることが期待されている。