日本天文学会要望書 次代をになう子どもに豊かな科学的素養を
【2005年7月25日 国立天文台 アストロ・トピックス(122)】
7月15日に(社)日本天文学会から中教審宛に要望書『次代をになう子どもに豊かな科学的素養を』が出されました。
以下、原文のまま要旨部分のみご紹介します。
日本天文学会要望書 平成17年7月15日 中央教育審議会会長 鳥居泰彦 様 初等中等教育分科会長 木村 孟 様 社団法人 日 本 天 文 学 会 理 事 長 祖父江 義明 教育問題懇談会座長 松田 卓也
次代をになう子どもに豊かな科学的素養を
宇宙の話を聞くとき、子どもはみな目を輝かせます。現代天文学が描き出すダイナミックな宇宙の姿は、自然への好奇心をかきたて、理科の学習意欲を高めます。宇宙を学ぶことによって子どもは、自分たちのルーツを考え、人類が地球を舞台として文化・文明を発展させてきたことに思いをはせることができます。このことは、かけがえのない地球を大切にし、自然との共生、人間相互の共存と平和を考える心を育むためにも必要です。
日本天文学会は、以上のような観点から、今回の初等・中等教育の教育課程の見直し、学習指導要領の改訂にあたり、次の2点を強く要望いたします。
(1)現代の宇宙観を含む科学的素養が身につく教育課程にすること子どもが、宇宙・地球・生命・人類のつながりを、空間的かつ歴史的に把握し、現代的な宇宙観を知り、社会人として必要な科学的素養を身につけることを目標として、理科の教育課程を編成すること
(2)小中高校において宇宙について持続的・系統的に学べること小・中学校理科では、宇宙について持続的・系統的に学べるようにし、現代的な天文教材を活用して、現代の宇宙観にも触れさせること。高等学校では全生徒が現代天文学の到達点を踏まえた宇宙観の基礎を身につける理科教育を実現すること。
学会としての教育への取り組み:
なお、日本天文学会としても、教育現場の先生方を支援する仕組について、教育問題を考える組織をおいて検討しています。すでに年2回の学会中に、天文教育フォーラム(天文教育普及研究会と共催)、中・高校生を対象としたジュニアセッションの開催をはじめ、科学館・社会教育施設への講師派遣などを実行しており、今後さらに関係各方面との協力を進めてゆくつもりです。
※注:人名読み方 鳥居泰彦(とりいやすひこ)、木村孟(きむらつとむ)、祖父江義明(そふえよしあき)、松田卓也(まつだたくや)