秋から冬にかけてたくさんの彗星が見ごろ
【2006年9月13日 アストロアーツ】
今年の秋から冬にかけては、8〜10等級の彗星が立て続けに見やすくなります。中でも、117年ぶりに回帰し彗星ファンを喜ばせたバーナード彗星(177P)の眼視光度は今月7〜8等級で、11月までは一晩中観測できます。また、今年6月にSWAN画像から発見されたスワン彗星(C/2006 M4)は、今月8等級まで明るくなると予想されています。その他にも見ごろを迎える彗星がありますので、あわせてご紹介しましょう。
バーナード彗星(177P)の増光
117年ぶりに回帰し彗星ファンを喜ばせたバーナード彗星は、当初の予想最大光度は13等でした。しかし、7月22日には8等級にまで増光しました。彗星活動が活発化し、淡いコマが大きく広がったからだと考えられています。9月の眼視光度は7〜8等級の見込みです。ただし、大きく淡いコマなので、眼視観測は光害の少ない場所で、双眼鏡など低倍率の装置で行うことが必要です。
スワン彗星(C/2006 M4)
アメリカのR. D. Matson氏とオーストラリアのM. Mattiazzo氏がそれぞれ独立に今年6月に発見した彗星です。二人によって、6月下旬以降のSWAN画像内で太陽に近い位置に淡く写っている移動天体として発見され、地上(南半球)から12等の彗星として確認されました。その後短い間観測されましたが、太陽に近くなったため観測ができなくなりました。近日点通過は今月9月28日、近日点距離は0.78AUです。日本では今月9月末から10月初め、明け方の北東の超低空に現れたあと、夕方の北西の低空で徐々に高度が上がって見やすい位置となり、8等級になることが予想されています。
サイディング・スプリング彗星(P/2006 HR30)
周期21年で彗星に似た軌道を持つ特異小惑星2006 HR30は、彗星活動を示すかどうか注目されていました。その後の大望遠鏡による観測でコマが確認され、彗星であることが判明しました。9月は13等ですが、12月〜1月には10等級まで明るくなると予想されています。
その他の彗星
シュワスマン・ワハマン彗星(73P)は、7月中旬頃から北半球でも再び観測されるようになりました。光度は暗くなったものの、B核は、まだ分裂を繰り返しているようでした。分裂の影響のためか、B核は軌道がずれてきており、B核の今後も注目されています。一方、C核は安定しています。
今回帰が好条件のフェイ彗星(4P)は、順調に増光しています。8月上旬〜下旬には11等台の眼視観測もあり、今月は10等級に、冬にかけては9等にまで達すると予測されています。