小惑星カリオペの衛星リヌスの軌道精度が向上
【2006年12月21日 CBET 776】
11月8日明け方に起こった小惑星(22)カリオペ(Kalliope)とその衛星リヌス(Linus)によるふたご座の9.1等星の恒星食は、各地のアマチュア天文家によって観測が行われました。観測を通じて貴重なデータが得られたことは、11月13日のニュースでもお伝えしたとおりです。
この小惑星カリオペの衛星リヌスについて、J. Berthier氏((IMCCE)Paris Observatory)らによって改良された軌道要素が報告されました。
軌道の改良に利用されたのは、CBET 732でも報告された、国立天文台の相馬充氏らによる11月7日の報告と、ケック-II望遠鏡の補償光学装置を使ったC. Laver氏、M. Adamkovics氏とI. de Pater(UCB)氏らによる12月12.5701日(世界時)の観測結果です。
修正された軌道要素から、次に起こる2007年1月2日と8日の恒星食について、衛星の位置が発表されています。いずれの食も継続時間は4秒以内、40キロメートルほどの幅の地域にわたって見ることができます。
赤経差 | 赤緯差 | 日付(世界時) |
---|---|---|
+0.40秒角 | -0.33秒角 | 1月2.67292日 |
+0.02秒角 | +0.86秒角 | 1月8.86074日 |
これら1月に起こる2度の恒星食については、衛星リヌスの正確な大きさを知り、さらに2007年2月と3月に起こる次の恒星食の予報の改良に役立つことから、積極的な観測が呼びかけられています。
日本での観測について、現在のところ比較的観測の条件がいいのは、1月3日です。掩蔽帯は、九州地方から四国地方西部にかけての地域で、恒星の等級は10.9等。しかし、減光が約0.46とほとんど暗くならず、月が近くにあることから、かなり厳しい観測になると予想されています。