技術試験衛星「きく8号」、アンテナ展開をすべて完了

【2006年12月27日 宇宙航空研究開発機構

今月18日にH-IIAロケット11号機で打ち上げられた技術試験衛星「きく8号(ETS-VII)」は、予定より1日遅れたが、26日に大型アンテナの展開をすべて完了した。衛星の状態はすべて正常で、今後は約2週間かけて静止軌道へ向けて軌道調整が行われる。


(26日に展開した送信用の大型展開アンテナ)

26日に展開した送信用の大型展開アンテナ。クリックで拡大(以下同じ)(提供:宇宙航空研究開発機構(JAXA)、以下同じ)

(「きく8号」の大型展開アンテナの展開想像図)

「きく8号」の大型展開アンテナの展開想像図

18日に打ち上げられた「きく8号」は、25日17時31分から受信アンテナの展開が開始された。しかし、送信用アンテナ上部の保持機構の開放状態の確認に時間がかかり、鏡面展開の予定時間を経過したため、アンテナの展開は一時中止され、受信アンテナのみ展開を終了させた。

翌26日の18時56分には、送信用アンテナの鏡面展開を行うコマンドが沖縄局から実施され、その後、衛星からのテレメトリデータと搭載カメラの画像から、アンテナが正常に展開したことが確認された。これでアンテナ展開のすべてが完了した。

27日の午前4時14分、「きく8号」は姿勢制御を定常モードへ移行し、すべて正常な状態であることが確認されている。今後は、クリティカルフェーズを終了し、初期機能確認フェイズへ移行する。初期機能確認フェイズでは、現在のドリフト軌道から静止軌道(東経約146度)へ向けて軌道の調整が約2週間かけて行われる。また、3か月半にわたり、「きく8号」の共同開発機関である情報通信研究機構(NICT)と日本電信電話株式会社(NTT)と協力して搭載機器などの確認が行われることになっている。