白色矮星の「小さな爆発」が「大きな爆発」とつながった

【2007年3月19日 NASA Mission News

20年前から存在した仮説が、偶然の発見によって実証された。NASAの紫外線天文衛星GALEXの観測から、3週間ごとに小さな爆発を起こす天体が、さらに1万年周期で大爆発を繰り返している証拠が見つかった。


きりん座Zの画像

きりん座Z(中央)と、古典新星の名残と見られる球殻状構造。GALEXが複数の波長の紫外線で撮影した画像を重ねた疑似色画像。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

太陽のような恒星が燃料を使い切ると、ただ冷えていくだけの燃えかす、「白色矮星」が残る。しかし、別の恒星が至近距離を回っていると、状況は変わる。伴星からガスが供給されることで、「激変星」と呼ばれる天体となるのだ。

ガスは白色矮星に対して回転しているので、すぐに落下せずに、白色矮星を取り囲むガスの円盤(降着円盤)が形成される。同じ激変星でも、そのふるまいは千差万別であり、分厚い本が1冊書けてしまうほどだ。

激変星の代表例が、「新星(古典新星)」および「矮新星」と呼ばれる2種類の爆発的現象だ。星の爆発といえば「超新星」が有名だが、こちらはほとんど激変星と関係がない。

白色矮星に伴星からの水素がたっぷり積もり、核融合の火がついて表層が吹き飛ぶのが古典新星爆発だ。白色矮星の周りにある降着円盤にガスがたまり不安定になると、熱や光を解放しながら一斉に白色矮星へ落下する。間欠的に繰り返すこの現象が矮新星だ。ほとんどの矮新星は数日から数年の周期でほぼ規則的に増光を起こす。ただ、文字どおりの爆発現象である古典新星に比べるとはるかに暗い。

このように、古典新星と矮新星はメカニズムが異なるが、以前から関連性が指摘されていた。矮新星では、増光のたびに白色矮星へガスが積もっているはずである。それならば、一定量たまれば古典新星として爆発するだろう、というわけだ。しかし、新星爆発を起こした白色矮星に再びじゅうぶんな量の水素がたまるまでの時間は1万年ほどとされる。たまたま矮新星が古典新星爆発を起こしてくれるのを目撃するか、かつて古典新星爆発を起こした痕跡を探すしかない。

NASAの紫外線天文衛星GALEXは、銀河の進化を解明するべく全天の「紫外線地図」作りを目指している。その際撮影された画像に、たまたま「きりん座Z(Z Cam)」と呼ばれる矮新星が写っていた。Z Camはおよそ3週間ごとに明るさが40倍になる、古くから知られた矮新星だ。可視光で古典新星爆発の名残を探そうという試みはあったが、失敗に終わっている。GALEXの観測する紫外線が、実はこの研究にうってつけだったのだ。

残骸はZ Camを球殻状に取り囲んでいて、数千年前に古典新星爆発を起こしたときの名残と見られる。古典新星と矮新星の関連性が指摘されたのは20年以上前のことだが、偶然の発見がついに両者を結びつけた。