超新星残骸に、隠れたパートナーをもつ中性子星

【2007年7月25日 Chandra Photo Album

RCW 103は、超新星爆発が起こってから2000年ほど経過した超新星残骸だ。その中心には、爆発で形成された中性子星が存在している。この中性子星のX線放射や自転の速度は通常と異なっており、その原因として小さな伴星の存在があげられている。


(超新星残骸RCW 103の画像)

超新星残骸RCW 103。中心にある青い点が中性子星。クリックで拡大(提供:NASA/CXC/Penn State/G.Garmire et al)

この画像はNASAのX線天文衛星チャンドラがとらえた超新星残骸RCW 103で、中央にある青い点が、爆発とともに形成された中性子星(解説参照)と考えられている。

超新星の爆発で吹き飛んだガスがつくる超新星残骸は、かに星雲をはじめとして、はくちょう座の網状星雲、ケプラーの超新星残骸、ティコの超新星残骸などがよく知られている。爆発は球殻状に広がりながら周囲の星間ガスと衝突し、衝撃波でガスが加熱されるなどしてX線や電波を発している。

チャンドラのとらえた画像では、エネルギーの弱いX線、中くらいのX線、強いX線に対応した領域が、それぞれ赤や緑、青で示されている。その理由を明らかにするために、X線放射の観測と研究が続けられている。

なお、超新星残骸RCW 103に関するニュースは、ニュース「とてもマイペースな中性子星」を参照いただきたい。

中性子星ってどんな星?

太陽の質量の8〜30倍の星が超新星爆発を起こしてできるのが中性子星。直径20kmほどの大きさに電気的に中性な中性子がギューッと押し固められている。爆発によって大部分が吹き飛んでしまって太陽の3倍ほどの質量になっていると考えられていて、角砂糖1個分で数億トンという超高密度になっている。((「宇宙のなぞ研究室」より抜粋)